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「和諧」な社会づくりへ――新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)古川一夫理事長(上)

2012-03-16 14:42:42     cri    

 穏やかな雰囲気に包まれた講堂の中で、すべての視線は1点に集中していました。その先には、中日の新エネルギー、産業技術開発について語るNEDOの古川一夫理事長の姿がありました。世界中で様々な取り組みをしているNEDO、中国でも新エネルギー、産業技術開発などに力を入れています。そこで、今回は日本のエネルギー政策、中国のエネルギー・資源開発、中日間での協力などについてマイクを向けてみました。

原子力と新エネルギー、2つの道

――今回の講演で「エネルギー・資源の制約」というテーマを選んだ理由はなんですか。

 日本は昨年の大震災の後、色々な制約の中で今、復興、復活に向けて進みだしているわけですが、特にその中でエネルギー問題というのは一番重要な課題です。また、日本全体の景気状況を考えてもエネルギーだけじゃなくて、資源の制約で日本が中長期的にどうしていくかということがポイントです。短期的にはエネルギー、中長期的にはオイルも含めた資源という意味で、今回このテーマを選ばせていただきました。

――日本で起きた原発事故、今でも様々な問題が残っている中、日本の原発に対する態度は今後、どのように変化していくとお考えですか。

 今の政府が次のエネルギー、ネクストミックスに向けていろいろな検討をしてまして、この夏に結論が出されます。NEDOとしてはどういう結論がでようと、再生可能エネルギーのコストを下げ、またその導入をしやすくしていくことがもっとも重要なことだと思ってます。そういう意味で、トータルなベストミックスの中で再生可能エネルギーができるだけ多く導入されるべく、どういう政策、方針になろうとも、私どもは最大の努力を払っていくという認識でいます。

――日本では50基以上ある原発のほとんどが停止していますが、日本政府はこれから「脱原発」の道を歩むのかどうかについてどうお考えでしょうか。

 これは私の個人的な意見ですが、やはり日本はこれまで原子力のエネルギーに大きく依存してやって来ましたし、これからもその形は大きく変わらないだろうと思ってます。私も40年間原子力に携わってきた1人のエンジニアとして、やはり今回の事故を反省して、とにかく安全性というものをもっともっと高め、それで新しい、安全性の高い原子力をまた日本がエネルギー源として持ち、それを世界に輸出していくことが、私個人的には重要だと思っています。新エネルギーの導入を図ると同時に、原発についても更に安全性を高め、それをもっと活かして行くのが重要だと思っています。

――日本の新エネルギーの開発と実用化はどうでしょうか。

 NEDOは30年間新エネルギーの開発をしてきて、そのなかでもやはり太陽光を重点にやっています。今は世界的には風力もありますし、バイオマスもあるが、まだ技術的な進歩が難しいです。その中で、期待できる領域はなんといっても太陽光だと思っていますので、短期的、中長期的な具体的な計画を定め、太陽光に取り組んでいくと思います。

 日本ではここ十数年、具体的な展開をしてして来ていますが、まだまだ残念ながらコスト的な面もあり、今は実用化がそれほど進んでいません。今年の7月からもう少し強いフィード・イン・タリフを、国としても導入するということで、それが1つのきっかけになって、導入が進み、コストダウンも進むというふうに考えていますので、大変期待しています。やはりこれから長期的なことを考えて、2020年、2030年のスパンを睨んで実用化を図っていかなければいけないことだと思ってます。

■「和諧」が非常に大事

――経済の急成長を遂げている中国、エネルギーや資源開発についてどう思いますか。

 私も企業に40年いて、中国の皆さんとは40年間お付き合いしてます。その中で中国の最近の経済のめざましい発展ぶりには、興味を表する次第ですが、やはり日本が経験してきたように、経済の発展と環境の調和っていうのは極めて重要で、やはり調和をとりつつ発展をしていくということが大事です。中国でも「和諧」を含め、今色々な言葉で表現されてますけど、やはり発展と環境の調和というのは非常に重要だと思っています。中国の幹部の方々もそういう認識で5カ年計画を作っていますので、そういう形でますます発展されてくんじゃないかなと思ってます。また、一番の課題としては、調和の中で具体的にどうして行くかということを、地方と中央と全国一体となって進めることじゃないかなと、私は思っています。

――中国のIT産業、技術産業にどのような印象をお持ちでしょうか。

 ITという視線でいいますと、今非常に力強く成長してきているんじゃないかなと思っています。特にソフトウェアの部門ですね。後、システム、インテグリスの部門、非常に目覚しいものがあると思っています。中国自身はかなり社会インフラの強化ということを示して進んでいますので、ITに関しても、インフラをバックアップするようなITが非常に進んでいると思いますし、これからますますそういうところが発達、発展していくんじゃないかなという印象を持っています。 (聞き手・構成:劉睿 撮影:白昊) 

【プロフィール】 

古川一夫(ふるかわかずお)

1946年 東京都生まれ。東京大学大学院(電気)修士課程修了。

1971年 株式会社日立製作所入社。

2006年 日立製作所取締役代表執行役 執行役社長。

2009年 日立製作所取締役代表執行役 執行役副会長、特別顧問。

2011年 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 理事長に就任。

 

 

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