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日本を越える潜在力、深く繋がる中日の絆ーー緑城監督・岡田武史さん(下)

2012-02-20 13:26:17     cri    


























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 ■日本を越える潜在力、サッカーの更なる普及へ

 ――中国のサッカーに対する印象はどうでしょうか。

 個々の能力は非常に高いものがあると前から思ってました。今回見てもいい選手、特にこのチームは若い選手、非常に才能ある選手がいると思ってます。ただそれがチームとなったときに、なかなか一つの方向に向かわなかったり、ものすごく集中力が切れることが試合中に多いんです。失点した後、またはコーナーキック、相手のキーパーがキャッチした、皆その時スパッと集中力が切れてしまうんですね。そういうところが変わって行けばかなりのレベルになるんじゃないかと思ってます。十分日本を越えるようなサッカープレーが出来る可能性を持っていると思いますね。中国に合うサッカースタイルは、まだ全体を通して分からないんですけど、中国人のメンタリティから考えると、パスをしっかりつないで攻めて行くサッカーが向いてると思います。それに、僕は決してスーパーリーグがレベル低いとは思わないですし、もっと自信を持てばJリーグと比べて大きな違いがないと思ってる。

 ――中国サッカーの評判が良くない原因とその解決のためにどうすればいいのでしょうか。

 一つは八百長事件だと思います。こういうことがあると人心が離れていくし、これはものすごく大きな問題だと思います。スポーツをやる上で、フェアでやることを忘れてはいけません。それともう一つはこちらに来て分かったんですけど、プロのスカウトがいないことです。選手はいろんな人脈で集まってきて、人脈でメンバーが決まったりすることがあります。やっぱりサッカーの世界では人脈じゃなくて、力で物事が決まっていかなきゃいけないと思ってます。

 僕を呼んだのは、おそらくそういう人脈が何もない外国人が来て、本当に力で判断して欲しいということだと思うので、僕は単にチームが勝つためにベストな選択をするというスタンスでいます。

 ――「眠る獅子」と20年近く言われて来た中国サッカー、なかなか目覚めないのはどうしてでしょうか。

 それはさっき言ったいろんな問題がありますし、それ以上にこれは一人っ子政策とかいろんなことがあるんでしょうけど、広くサッカーが草の根のところで広がって、そこからピラミッドになっていないというのが、一番大きな問題じゃないかなと思います。

 今は親がみんな一人っ子だから、サッカーをやらせないと聞きましたが、これから時間かかるかもしれないですけど、やはり地道に土台を作り、サッカーを人気を上げて普及させて、子供たちみんながサッカーをやるようになってきて、その中で優秀な人達が上に上がっていくようなシステムを、長い目で作っていくのがいいのかなと思います。

 ――中国ユースチームについての印象はどうでしょうか。

 僕は全体的なユースは分からないけど、昨日ユースの監督といろいろ話しましたけど、かなりレベルが高いと思いますね。日本よりも高いですし、ユースの監督はオランダよりも高いと言ってました。しかしその中で選手が自分で判断したり、言われたことをやるだけじゃなくて、自らやるという自立ということがちょっと欠けているんじゃないかとお互い感じています。ただ技術、フィジカル含めて、そういう能力はオランダや日本よりも上かもしれないと思ってます。

 ■人と人のつながりはそんなもんじゃない

 ――岡田監督は中国をどんな風に見ていますか。

実際中国というのは、どういうものか見てみたいと思って来ました。歴史問題や尖閣諸島(釣魚島)やマスコミや政治家のレベルではいろんな衝突みたいなことばっかり起きてますが、でも実際は違うんじゃないかなと思って来て、僕はまだ来て一回も嫌な思いをしてないですし、個々のスタッフ、選手、掃除のおばさん、コックさん、最高に僕を受け入れてくれて、なんか食べたいものはないかと聞いて来ます。やっぱり一部の人たちだけそういう衝突があっても、多くの人は決してそんなにいがみ合っている訳でも何でもないという感覚を持ってます。

 ――以前中国に来た時の印象はどうでしたか。

 僕が以前来たのは試合だったり、日本と中国の試合、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の試合とかだったり、そうするとやっぱりそういう反日感情みたいなことを感じたりしました。でも、きっと違うんだと思って、一人ひとりの人と人のつながりはそんなもんじゃ無いと思ってきて、やっぱり正解だったなと今思ってますね。

 ■結果を中日友好につなげたい

 ――岡田監督にとってサッカーとはなんでしょうか?

 離れようと離れようと思うんだけど、また戻ってきちゃう、なんかそういう奇妙なもんですね。いつも突っ張っているところがあるから、別にサッカーだけじゃないという気があって、いろんなことやりたいんでいつも一回離れるんですけど、またいつも戻って来てしまうものです。

 ――今年、中日国交正常化40周年に向けての目標はなんでしょうか。

 僕はそんなだいそれたことは考えてなくて、自分がこの緑城で良いチームを作って、そして結果を出すことによって、それが結果的に日中の友好につながっていくんだったら最高だなと思ってます。

 (聞き手・構成:劉睿)

 【プロフィール】

 岡田武史(おかだ たけし)

 1956年 8月25日大阪生まれ。

 1980年 早稲田大学政治経済学部卒業、古河電工入社。

 1992年 ドイツへコーチ留学。

 1997年 フランスW杯最終予選代理監督として指名され、その後に正式任命。

 1999年 J2に降格したコンサドーレ札幌の監督に就任。2000年にJ2で優勝。

 2003年 横浜F・マリノス監督に就任。2003年、2004年とJ1で2回優勝。

 2007年 日本代表監督再就任。

 2010年 アジアサッカー連盟(AFC)より、AFC最優秀監督賞を受賞。

 2012年から中国サッカー・スーパーリーグの杭州緑城足球倶楽部にて監督就任。

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