■スキー先進国になった日本からの恩返し
――中国スキー協会と提携する話が進んでいるようですが、中国サイドから期待されていることは?
中国スキー協会(中国国家体育総局冬季体育管理センター傘下の組織)は2008年から全日本スキー連盟と事業提携を始め、その契約は2010年で終わりました。今回、私たちに話が持ちかけられたのは、日本のスキースタイルが欧米よりも中国人に合っているので、日本の技術をぜひ教えて欲しいという要望です。
接遇、接客マナー、スキー場の安全管理、スキー場やインストラクターのマネージメントなど、スキーにかかわるすべてのものを教えてほしいと言われています。特に強調しているのは、指導者育成での協力です。中国はこれから厳しい間口を設けて、最高レベルのスキー指導者を選別していきますが、その中でセレクトされた人、年間5~6名を北海道に派遣してテストを受けさせ、中国最高のスキー指導者として登録していく仕組みを整えていくということです。
――指導者育成を重視する中国の姿勢をどのように評価しますか。
大歓迎します。いま、中国では非常に多くの方がスキーを楽しむようになっています。ただ、上から下まで転ばずに一本滑れたと言って、「もうスキーが分かったんだ」と理解している人が多いようです。なんとか中国の人々にスキーをスポーツとして認識していただきたい。それができるには、中国で大衆スキーを教える指導者を増やさなければいけません。そのために、指導者の育成に我々も力を入れさせてほしいなと思っています。
――中国からの協力要請に対して、北海道スキー連盟として、どのような気持ちで協力に乗り出していますか。
北海道にスキーを伝えたのは、今から100年前、オーストリーの軍人さんでした。その後、沢山の指導者が北海道で誕生し、今、日本は世界を代表するようなスキー技術を持つ国になりました。
今度はオーストリーに恩返しするという形で、我々北海道民としては、アジアに恩返しをしようと思っています。それがいまの中国になっているということです。ぜひ中国の方々にスキーをスポーツとして認識してもらって、ブームをどんどん高めてもらいたい。北海道としては、中国ともっと行き来し、互いに相手の良さを知り、お友達になりたいと思っています。
中国は夏のオリンピックが大成功しましたが、今度は冬のオリンピックを誘致すると思います。そのためにも、ウィンタースポーツとしてのスキー愛好者の層を厚くしなければいけません。そういうふうに、日頃からスキーヤーを高めていきたいというのが、北海道のみんなの考えだと思います。
■民間提携のきっかけ作りにも尽力
――これまでにも、中国のスキー場をずいぶん回ったようですが…
2004年、調査で初めて中国に来た時に、北京郊外の8つのスキー場を回りました。中国にも、きちんとした形でスキー場があること自体に正直、驚いてしまいました。
その後、北海道スキー連盟は4年に渡って、北京や天津の民間スキー場で中日友好スキー講習会を開きました。講習会には、たくさんの方々が集まってくれて、非常に効果があったと思います。
ただ、その時に感じたのは、中国にはスキー場のことがよく分かる経営者が極めて少ないんだなということです。そんな中、私たちはスキー技術を教えるだけでは物足りず、もっと広くスキー場経営に関する情報を提供していかなければいけないと思いました。そんなことから、ここ3年、北海道のスキー場や民間の方々を中国のスキー場に紹介して、双方が業務提携するよう促してきました。
――これまでの北海道のスキー場と中国のスキー場との提携の概要について紹介していただけませんかか。
たとえば、北海道の代表的なスキー場経営業者「加森観光」と河北省張家口にある万龍スキー場、または、キロロリゾートと多楽美地スキー場(張家口)との業務提携などです。キロロリゾートはまた、喬波室内スキー場と提携して、子供向けのレッスンを行いました。
また、遼寧省瀋陽市にグランドオープンしたばかりの怪坡スキー場は、キロロスキーリゾートを始め、北海道の5つのスキー場と友好関係を結びました。スキー場の運営、人的往来における双方の連携が深まることが期待されています。(つづく)
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