■2012年の目標は30%成長
――5年前、キヤノン中国は売り上げ「10年10倍増」を目標に掲げました。会社創立15周年になる2012年を前に、この目標設定をどう振り返りますか。
2007年、キヤノン中国設立10周年の年に、我々は10億ドルの売り上げを達成することができました。大きな目標だったので、社員たちは非常に喜んで感激しました。それはそれで良かったのですが、これで安心して終わっちゃうのではないかと危惧して、「ここが最終目的地じゃないんですよ。ここから先10年後に、我々は10倍にするぞ」と私はさらにチャレンジ目標を出しました。
そこからずっと今まで、ほんとに年々上がってきて、今は2017年ではなく、一年前倒しして2016年に100億ドルを実現したい。今のところ、順調に成長をつづけてきています。
――予想よりも早く目標達成を目指しているということですね。
そうです。ただ、15周年に向けていろんなイベントを企画していますが、世界経済が厳しいことになるとも予測されている中、どうなるのかなという話が会社の中にもあります。
暗雲が立ち込めている景気状況ですが、30%成長という我々の大きな目標をなんとしても達成していきたいと思っています。そういう意味では、来年が一つ大きな山になりますが、その山を越えないと、目的に達することができなので、2012年は大きな年になると思います。
■中国と提携してこそ日本の将来は開ける
――中国では、2008年からの内外資法人税の一本化に始まり、外資を取り巻く経営環境に変化が見られました。キヤノン中国としては、こういった動きをどう受け止めていますか。
中国がどんどん成長していく中、内外企業が同等の扱いになるというのは、当然の成り行きだと思います。しかし、一方、我々は今まで優遇措置を受けていたので、それが段々なくなっていくのは、つらいものがありますが、その変化に対応していかないと、中国の中でも勝ち抜けません。
中国はいま、世界で最もポテンシャリティの高い国です。経済成長率は徐々に落ちてるとは言っても、社会科学院の先日の予測では、来年は8.9%が見込まれています。中国は世界最大の販売拠点になっているので、中国の変化に速やかに対応できる会社が強く生き残っていけるということになると思います。
いま一番のポイントは、中国戦線で勝つことです。これが、ほとんどすべての企業の大きな命題になっていると思います。
――今年で38年を数える小澤さんのキヤノン人生ですが、そのほとんどの時間を海外で過したようです。そうした中で、日本国内の皆さんに一番伝えたいことは?
中国は確かに将来、多大なる発展の可能性を秘めている国であることは間違いではないです。ただ、中国でのビジネスが簡単じゃないことも良くわかりました。
間違えやすいのは、中国というのは我々と同じくアジアに存在し、中国人と日本人も見た目ほとんど変わらず、歴史的にもつながりがあるので、日本と同じなのかなと、日本人がどこかで錯覚していることがあるのではと思います。
何よりも中国とビジネスをするなら、中国に住んで、中国人の友達をたくさん作らないとうまくいきません。
――最後に、企業活動を通して、国交正常化40周年を迎えようとする両国関係の中で、一番強く感じたことを聞かせてください。
中日関係は、一衣帯水の関係だと良く言われています。中国は日本の隣国で、その国が成長するというのは間違いありません。
日本はもうかなり成熟した市場で、今後先々、よほど何かプラットホームでも変わらない限りは成長していきません。であるならば、中国と一緒になっていろんなことをやることで、日本の将来も開けてくるのでは、と私は思います。中国のことをよく知って、友達もたくさん作って、中国のことを良く認識して、一緒にうまくやっていくことが大事なのです。そういうことができた人に、明るい将来が来るのではないかなと思っています。
(聞き手:王小燕、整理:王小燕、王穎穎)
【プロフィール】 小澤秀樹さん
キヤノン株式会社 常務取締役
キヤノンアジアマーケティンググループ 総裁
2005年からキヤノン(中国)有限公司 総裁兼CEOとして北京に赴任
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