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在中国日本国大使館経済部参事官・柴田聡さん(上)

2011-03-09 16:02:06     cri    

■冷静に受け止めよう GDP第二位の中国経済を

————日本内閣府が2月14日に発表したところによりますと、2010年、日本の名目GDPはドル換算で5兆4742億ドルで、中国を4044億ドル下回りました。これにより、中国は日本を抜いて世界第二の経済大国になりましたが、それは、日本にとってこれまで42年間にわたって維持してきた、世界第2の経済大国の座を手放したということになります。

 日本は、ぼくが生まれた1960年代から世界第二の経済大国というのが、一種のアイデンティティのような部分があったかと思います。そういう意味で、確かにちょっと寂しい気持ちは禁じえないと思います。

 他方、中国の経済成長は改革開放が始まった頃はわずか日本の1/6のサイズでしたが、それが今は日本を超えるまでに成長しました。このことを冷静に受け止め、むしろ、それを一つのチャンスとして捉えていくべきだというふうに私は考えています。

————それを具体的に言いますと?

 日本はGDPの総量においては中国に抜かれましたが、一人当たりのGDPではまだ中国の10倍あります。この豊かさを維持していくには、中国の市場が非常に重要なキーになるのではないかと思います。中国は人口で言えば日本の10倍、国土面積で言えば日本の26倍もある大国で、しかも、日本と隣同士で、非常に大きな市場がそこに存在しているからです。自動車がその一番典型的な例だと思います。中国の自動車年間販売台数はもう1800万台を超えており、しかも、まだまだ成長余力があります。この大きな市場の中に、どれだけ食い込み、この巨大な消費のパワーをどのように日本のビジネスにもつなげていくかということは、これからの日本の経済成長にとって非常に重要な鍵の一つになると考えています。

————他方、中国にとっての日本の魅力についてどう見ていますか?

 これは端的に、日本はハイテクや省エネ環境技術が非常に優れているといったイメージがあるかと思います。とくに、企業が持っている技術力やブランド力といったものについての実態を見ますと、まだまだ中国の企業と比べると、一日の長があるのかなと考えています。

————中国と日本は引き続き強い相互補完関係にあるということでしょうか。

 そうですね。改革開放以降のこれまでの30年間、どちらかといいますと、中国で製品の組み立てをしてもらうということで、加工型貿易が中心だったと思います。これからは「生産拠点」という位置づけは引き続き続くと思いますが、むしろ、それ以上に「市場」としての位置づけが決定的に重要になってくるのではないかと思います。

————日本にとって、「失われた20年」から抜け出して成長を維持する上で、対中国の経済関係をどう位置づければよいとお考えですか。

 これは、昨年、日本政府で出した「成長戦略」の中でも最初に位置づけられていることですが、海外からの注文をもう一度いかに獲得していくかということが、日本の競争力を高めていく上で決定的に重要なことだと思います。

 もちろん、中国だけでなく、インドや東南アジアも含めた新興国等のマーケットをどう獲得していくのが重要なんですが、やはり企業の方たちの見方を見ても、その中でも、やはり中国がもっとも重要な位置づけだというのが共通認識になっています。(つづく)


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