――ムック誌『知日』の創刊をめぐって
【"日本論"人気ブロガ-薩蘇さん】
「知日」は中国自身のため
――『知日』の創刊をどのように評価しますか。
この雑誌は、日本最先端の文化を紹介していますが、私から見れば、これは「中国の明日とは何か」を取り上げている雑誌でもあると思います。今、アジアで近代文化の最先端を歩んでいるのは日本で、昨日の日本は明日の中国でもあるからです。
――今の中国にとっての「知日」の意義をどう見ていますか。
中国は何故、日本を知ることが必要かについて、これまでややもすれば、「日本のことを知っておけば、中日は将来仲良くなれる」と考えられがちでしたが、知るようになって、却って嫌いになるケースもあります。
私からみれば、日本を見れば、今の中国、昨日の中国、そして明日の中国の全てを知ることができるということが本当の理由だと思います。つまり、中国人は自分自身のために日本のことを知っておくことが必要だと思います。
この広大な中国を生きている一人一人はあたかも一匹の蟻のようです。それぞれがマンションの料金が高いとか、悩みはあるようですが、究極のところ、私たちは蟻の世界のことしか知らず、全体の様子は一体どうなっているのか、良くは知らないところがあります。
世界の中国への見方を例にとっても、実に千差万別です。日本やアメリカ以上に素晴らしい国だという声もあれば、世界で一番悪い国だという声もあります。そのような声の中で、本当は、中国とはどんな国なのかがなかなか把握できません。
一方、日本を見れば今の中国が実によく分かります。1960年代や70年代の高度成長期の日本で起きていたことは今、まさに中国でも起きています。乳児用の毒入り粉ミルクの事件を取ってみても、日本でもかつて乳幼児が130人以上死亡した粉ミルク事件が起きていました(森永砒素ミルク中毒事件)。もちろん、日本のことを知る目的は、日本と中国とどちらがより悪いかを知るためではなく、同じような問題が他の国でも起きていたということをまずは知っておくことです。急成長する中国は、今はまさに、社会問題が爆発する時期に入りました。日本はある意味、「豆中国」のようで、中国の「試験場」的なところがあるように思います。
――日本は中国にとって鏡のような存在ということですか。
「今」の中国だけでなく、「昨日」の中国も日本で見えます。たとえば、中国の伝統文化の中で、自国ではすでに無くなったものですが、日本ではまだ一部保存されているものがあります。中国では、「伝統文化は近代化の敵だ」と言う見方もあり、伝統をなくすことでこそ近代の発展が成し遂げられると思われている考えがあります。そういう考え方を持っている人にも、ぜひ日本のことを見てもらえたらと思っています。
――最後に『知日』の作り手たちに一番言いたいことは?
さきほどの発刊会で、様々な日本のことが紹介されていましたが、それはあくまで日本の一部分だという認識を忘れずに、本当の日本を知るには、日本の社会に触れてみなければいけないこと、そして、「昨日」、「今」、「明日」の中国はいずれも日本で見られることを忘れずに、雑誌作りに頑張ってほしいなと思っています。(王小燕)
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