シリーズ企画<日常生活から振り返る中国60年>
その⑤~買い物の革命
By.つばめ、ミン・イヒョウ、鎌倉千秋
1983年1月、中央省庁の集まる北京・三里河。見栄えのしないビルの一角に、200平米ほどの小型スーパー が開業しました。北京のスーパー第1号のオープンです。
「店員がいなくて、商品はすべて自分で選んでいたので、本当にこれで買い物できるのかが不安だった」
「娘が生まれたので、日本産の粉ミルクを買うため、30分も自転車に乗って通っていたよ」 …
20代後半以上の中国人に何気なく「初めてのスーパー体験は」と聞くと、様々な物語が聞けるに違いありません。
買い物にも「原風景」があるとすれば、あなたはどのような子ども時代の思い出がありますか。
つばめは、売店がなかった村に生まれ育ち、買い物というと、でんでん太鼓の音とともに登場する日用雑貨売りや(ガラス張りの四角い貨物棚を天秤棒で担いで売り歩く人)、様々な物売りの声とともに登場する行商たちのこと。または、数日に一回しか開かれない農村の「市」(写真提供:互动图片、义务新闻网)。
都会っ子のミンはとっさに「合作社」と言う聞きなれない単語を口にしました。醤油や野菜などの食料を扱う売店で、往々にして数日に一回しか品物の入れ替えをしなかったようです。そのため、新鮮な野菜が入荷されると、すぐに長蛇の列ができたという記憶があると言います。
一方、1980年代、静岡で子ども時代を過ごした鎌倉さんはれっきとした「スーパー世代」。溢れんばかりのモノが陳列されており、お店の外には子ども専用の滑り台などの遊具が置かれていて、楽しい場所でもある記憶があるようです(写真左は中国の農村部のスーパー、右は都会のスーパー)。
さて、時間を現在に戻しましょう。
「今、良く利用している買い物の方法は?」
と聞くと、若者なら、日本も中国も関係なく「オンラインショッピング」と答える人が多いに違いありません。番組の後半は、思いっきりネットショッピングの中日比較をします。
書斎用の机までネットで購入したという鎌倉アナ、「ネットで買えないものはない」と断言したミン、オンライン書店のダイヤモンド級会員になったというつばめ。今でこそ、インターネットを使う人で、オンラインショッピングをしたことがない人は珍しいのかもしれません。
ところで、最近の中国では、ネット上の「アイディア商品」と言ったらいいでしょうか。「時間を売る」だとか、「鳥の巣の上空の空気を売る」だとか、見ていてびっくりするような売り物をする人が見られます。アイディア商品ではないですが、「大好きなラブラドール犬をネットで探している」というミンの話にも驚きました。(写真は中国のオンラインショッピングのウェブサイト)
ちなみに、観光都市の杭州市は、行政による起業奨励政策として、ネットショップのサイトを開設してビジネ
タタミからふすままですべてネットで注文したという"80后"若者の新婚部屋 |
Chinabyteの統計によれば、2008年の中国ネット通販市場の伸び率は前年比で130%増を記録し、1300億 元(約1兆9500億円)、また、2009年も80%増の2680億元(約3兆5700億円)と高成長が続くという予測があります(2008年の日本は3兆5000億円)。
リアル世界なら大型スーパーにデパートとコンビニ。バーチャル世界ならオンラインショッピング。
今でこそ中国も日本も買い物の形態にそう違いはないと言えます。小さな町に暮らしている人も、インターネットのお陰で、それまではほしくても入手できなかった商品を手に入れることが可能になりました。様々な問題点を抱えながらも、ネットは「便利な生活を送りたい」という人々の夢をかなえさせてくれました。
買い物方式の変化は、60年来、中国人の生活そのものの変化を凝縮したものとも言えます。
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