シリーズ企画<日常生活から振り返る中国60年>
その②~若者の今
By.つばめ、胡徳勝、王穎穎、吉野
シリーズ番組の2回目。今回も引き続き時代の移り変わりを反映できる音を探してみました。
「おっかけたちの黄色い声」と提案したのは、胡徳勝アナ。
その理由は、「ぼくの両親たちの世代は、好きなアイドルがいても、それをあからさまにおっかけることはなく、いつまでも心の中に秘めていました。せいぜい、日記を書いたり、手紙を送ったりする程度のものでした。ところが、今の若者たちは、一部で熱狂的なおっかけ行動をしている人が目立っています」、と言います。
「おっかけ」というと、先日、湖南省の省都・長沙からで北京に戻った王穎穎アナも、「チューリップのファン」と称したおっかけたちに遭遇。「全員、ピンク色の衣装を身にまとい、キャーキャー騒ぎながら待ち構えていた」そうです。
それもそのはず、長沙は土地柄、人気オーディション番組「スーパーガール」を企画したテレビ局「湖南衛星テレビ」の本拠地。同じ飛行機には、同番組のベストフォーにまでエントリーした参加者が同乗していたようです。
さて、いつの時代にも「若者」層がいますが、時代により、「若者」たちのファッションや追い求める価値観にかなりの差が見られます。
09年5月、北京市内のホテルで行われた日本人声優のファンの集いの模様。全国各地からファンが詰め掛けてきた。右は桂林からのZさん |
60代の目上の人は、今の「おっかけ」現象を「未熟な行動、コマーシャリズムの影響、奨励できない行動」と猛烈に批判しています。そして、「私たちが若かった時、本当の英雄や人格的に尊敬できる"模範人物"しかアイドルになりえなかった。それが今では、アイドルというと芸能人やスポーツ選手ばかりに集中している」とひんしゅくの表情を隠しませんでした。
ただし、同じく「おっかけ」の現れについて、若い世代は「中国がある程度、豊かになって初めて見られた現象。これこそ価値観の多元化の表れでもある」とおおらかに見ています。ただし、「うわべのことばかり追っかける時代風潮」と痛烈な批判を展開する先輩の指摘に、考えさせられるものも確かにあります。
ちなみに、中国よりずっと早くから「おっかけ」が現れた日本で生まれた育った吉野は、「若者はエネルギーを注ぐ対象を求めている。今の若い人は、心から尊敬する人というより、一緒になって楽しめる対象を追い求めている。その点、日本も中国も同じだ。日本人にとって、おっかけがある今の中国は、むしろ距離的により近くなった」とも言います。
「おっかけ」そのものへの評価はさておいて、その社会現象から誕生したのが、中国におけるサブカルチャーとしての「若者」かもしれません。
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