二時間目「CRIインタビュー」
ゲスト:写真家・稲垣喬方さん
聞き手:王小燕 志摩悦二郎
今週は東京からのゲスト、写真家の稲垣喬方(いながき・たかまさ)さんをスタジオにお迎えしました。
今回は1940年代に北京で生活していた母親で、書道家の稲垣黄鶴(いながき・こうかく 1903-2006)(写真左)の俳句集『北京恋』から春にちなんだ句をご紹介しながら、半世紀以上も前の北京にタイムスリップします。
時は日本が中国に対する侵略戦争を繰り広げていた時代でした。こうした中、黄鶴は中国文化への憧れという純粋な気持ちで、外交官だった夫と共に北京に渡りました。普段着にチャイナドレスを着、食事は北京市民と変わらないものを自分でこしらえ、住居も胡同の中に構えた黄鶴は、北京にいる日本人の奥様方に書を教える傍ら、中国人の書家について自ら稽古に励んでいました。
「母の目には北京は詩情に溢れた町。北京の秋の空の色が世界一だといつも言っていた」と喬方さんは振り返ります。
今回は、稲垣黄鶴の句集『北京恋』からいまの季節にちなんだ句をピックアップしてみました。
・北京はみな 燕となりぬ 夕茜
・清朝の 二枚の皿の 夜店かな
・月天心 画舫は湖心 人無心
・春泥に よごれて驢馬は ととととと
・ゆっくりと 歩く驢馬の目 春の風
・すする茶に 落つるともなき 柳絮かな
・小姐の 裳をめぐる 柳絮かな
・緑蔭に 新刊の頁 切りにけり
稲垣黄鶴が導いてくれた時空の旅から何が見えるのか、ぜひ番組をお聞きください(写真右の書は稲垣黄鶴自筆俳句集『北京恋』から)。
(王小燕)
【プロフィール】稲垣喬方(いながき たかまさ)
1930年 東京に生まれる
1959~1987年 フジテレビ美術部勤務
1968年より丹波地方の民家撮影を始める
現在、現代表装協会理事
現代表装工房 代表
主な著書『山里残影』(グラフィック社、1992年初版)
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