第68回国際映画資料館連盟(FIAF、International Federation of Film Archive)年次が4月22日から28日まで北京で行われています。このシンポジウムに参加した岡島尚志東京国立近代美術館フィルムセンター主幹にお話を伺いました。
岡島尚志東京国立近代美術館フィルムセンター主幹
――東京国立近代美術館フィルムセンターについて、簡単にご紹介いただけますか。
日本の国では、映画に関する組織はほとんど、民間が行っています。ですから国の組織は、このフィルムセンターだけで、国立の映画機関として唯一のところです。ここでは、映画の収集や保存作業を始め、、上映会や、映画に関する様々な研究をしています。
――この美術館で保存されている一番古い映画は何でしょうか。
一番古いのは何でしょう。これはなかなか難しいです。1899年に作られた『紅葉狩』という映画があります。これは歌舞伎なんです。明治時代のとても有名な歌舞伎の役者がこの映画の中に映っています。この映画は私たちの持っている映画の中では、一番古いものだと思います。これは日本の重要文化財に指定されています。
――アニメで一番古いのは何でしょうか。
アニメで一番古いのは1917年の『なまくら刀』です。
会議現場
――日本のアニメは、『ドラえもん』や『クレヨン新ちゃん』などが中国ではすごく人気があります。岡島主幹のお勧めはありますか。
私たちフィルムセンターは『ドラえもん』や『クレヨン新ちゃん』を持っていないです。それはそれを作った映画会社が持っています。私たちはむしろ今の非常に世界的に人気のあるアニメの元になっている、古いアニメをできる限り収集、保存をして、ときにはデジタル技術を使って、復元をしたり、そういうことをやっています。やはり歴史というのは連続していますから、今ある素晴らしい映画の元になったもの必ずあるわけですよね。ですから私たちはその古いアニメ、戦前のアニメを非常に大事にしています。今回は中国で、「貴重な世界アニメ映画上映会」を行いました。ここでも23日に日本のアニメをたくさん上映しました。素晴らしかったです。例えば、『くもとチューリップ』という映画は1943年に政岡憲三という人が作ったアニメなんです。本当に素晴らしいです。日本のアニメの歴史の中で最も優れた作品のひとつだと思います。今回フィルムセンターでは、それをデジタルで復元しました。とてもきれいな絵になったし、とても聞きやすい音になりました。これはぜひ一度どこかで見て下さい。本当に素晴らしいです。この映画を見ると、日本のアニメが今世界中でとても人気ある理由がよく分かると思います。
シンポジウムのポスター
――現在、フィルムセンタにある映画の修復、復元の状況はどうですか。
今言った『くもとチューリップ』はまさに修復の例です。映画の修復は昔から写真科学的に行われてきたんですけれども、今からおよそ15年ぐらい前から、デジタル技術を使って、映画の修復、復元が行われるようになりました。その技術も年々上がっています。しかし、すべての映画について、それをできるかというと、なかなかお金や時間の問題でできないという事実があります。しかし、やはりこれからはどんどんデジタル技術を使って、修復をしていくということが大切です。
シンポジウムのポスター
――中国のアニメの発展の現状はどのように評価しますか。
私はあまり詳しくはないですが、昔から中国にはすばらしいアニメがたくさんありますから大好きです。中でも、一番好きな中国の映画は『牧笛』というのです。中国語でどう発音するかわかりませんが、大好きです。中国にもたくさん素晴らしいアニメがあります。
――今回開催されるシンポジウムで、何か収穫がありましたか。
たくさんあったと思います。私はこのアニメについてのシンポジウムをやろうと最初に呼びかけた人間ですし、私はこのシンポジウムでいろいろの計画を考えました。やっぱり世界中にぜんぜん知らないようなアニメーションがたくさんあります。アニメーションというのは、映画の保存や復元とは少し違う性格を持ってということが、非常にはっきりわかって、そこのところが非常に収穫だったと思います。
(取材:李陽、チェック:志摩)
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