普段の生活の中で視覚記号(絵文字やサインなど)を意識することはないと思いますが、海外旅行や外国生活では非常に役立つ案内となります。しかし、中国ではあまりそれらが重視されていないように思います。毎日乗っている地下鉄は新しい車両で、運行状況を示す電光表示板が入口の上についています。ところが、これが進行方向とは逆にランプが点いていくのです。到着駅はあっていますが、進行方向と逆になるとなんとなくしっくりきません。体と脳が別というか。しかも蛍光色に光る緑のラインを赤いラインが塗りつぶしていくという方法で、どちらの色の主張も強く、どちらが重要なのかもわかりづらいのです。また別の話になりますが、建物の棟にもAからEとあるとしますと、日本人なら縦方向に順番、あるいは横方向に順番と並んでいると想像しますが、アットランダムな配置ということは珍しくありません。何度だまされたことか。
そのせいなのか、中国の方は案内を見ずに"人に聞く"という方法をとる人が多いように感じます。逆に、人に聞く方法をとる人多いので視覚記号への意識が薄れているのか。
今はスマホの時代になり、わからないことは移動中でも検索で解決できるようになりましたが、まだ北京生活では"近くの人に聞く"という方法の頻度は高いように思います。私も中国へ来て、人に声をかけて尋ねるということが躊躇なく出来るようになりました。視覚記号が生かされていないのは残念ですが、かわりにコミュニケーションが減ることになるのなら、それはそれで寂しいものなのかもれません。現に道を聞かれ答えた後、相手の笑顔と「謝謝」という言葉を聞くと、私もちょっと得意な気分になったりするのです。(吉野綾子)
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