大野さん! つぶやきの原稿が届いていません!
先ほどそう連絡を受け、今、あわてて書いているところです。まったく!
小学生の時も9月になってからでなければ夏休みの宿題をしなかった私ですので、原稿も締め切りが過ぎてから書き出すというわけで、いつものことと言えばいつものことでなのですが、ちょっといいわけを言わせていただければ、今、実はCCTV制作の大人気ドキュメンタリー番組「舌の上の中国」というテレビ番組の日本語版制作の仕事をしていまして、今日、その1回目のナレーション録音だったので、それに夢中ですっかり忘れていました。
皆さん!申し訳ありません!
ところで、今、日本語版を作っている「舌の上の中国」(原題「舌尖上的中国」)ですが、正味50分・7回シリーズのドキュメンタリー番組で、中国各地の食材とそれをめぐる人びとの物語を紹介しています。今年の5月に放送されるや大きな話題になり、会う人会う人みんなそれを話題にするという状態でした。最初、話しを聞いたときは、ただのグルメ番組かと思っていたのですが、CCTVのネットテレビで見てみると確かに評判になる理由が分かりました。いくつかの点で今までの中国のドキュメンタリーにない新しさがあるからです。
第1の新しさは、例えて言えば、食を取り上げているのに「おいしい」という言葉がほとんど出てこない。つまり、出演者が食べておいしい!という言うようなグルメ番組ではなく、食材を求めて中国各地を旅する旅番組でもあり、様々な自然の食材を採取する人びとの人間ドラマでもあり、食をめぐる中国の文化史を紹介する番組でもあるということです。いわば食を取り上げながら大変良質の教養番組に仕上がっているということです。
第2の新しさは、徹底的に画にこだわっている。あるいは言い方を変えて言うとドラマ的な画づくりということです。
この写真を見てください。
これはある人がキムチを漬けるところを撮ったものですが、何とカメの中にカメラが入って撮っています。普通ではあり得ない視点ですね。ところがこの画面を見て、観客は案外違和感を感じません。なぜかというと、ドラマなどでこういう撮り方が時々出てくるからです。良くあるのが出演者が冷蔵庫を開けると、カメラは中から冷蔵庫の中を見る出演者を撮る。そんな画面に記憶はありませんか。これはドラマだから許される手法で、普通、ドキュメンタリーでは撮りません、嘘だからです。でも、この番組はあえてそういう視点を積極的に取り入れることで、全体に非常に新しい雰囲気を出す事に成功しています。
他にもクレーンを使ったショットやレールなどで撮影した画、そして説明的な画の排除とアップの多用など切れの良いドラマ的な画づくりが、普通のドキュメンタリーにはない世界を作り出しています。
その他にもいろいろ面白い点があるのですが、明日も録音作業があるので、今日はこの辺にしてまたナレーション原稿の整理に戻ります。今、私たちが作っている日本語版で皆さんがごらんになれる日もそう遠くないと思います。(大野清司)
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