「ちょっと待てよ、聊斎志異?」。どこかで耳にしたと思えば、日本の漫画家、諸星大二郎氏の「諸怪志異」の元ネタ。せっかくだから、中国に「聊斎志異」の本編はないものか、と探していると、会社のデスクで隣り合わせのミン・イヒョウさんが「家にあるよ」。「…えっ?」
分厚い939ページある「聊斎志(誌)異」。ずっしりとした感触で、ページをめくると、「あった、あった!」。小倩と宁采臣との物語「聂小倩」。「チャイニーズ〜」の原作です。大きな挿絵があり、漫画を読む感覚で想像力をかき立てます。
【天津人民美術出版社刊「聊斎誌異」より】
「そうか、旧作も新作も原作とエンディングが違うんだね。こっちも好きだなあ」と話していると、「ねえ、それ貸して。あなたの家にある翻訳本を読めば。日本語だし、そっちがいいじゃないの?」と妻。「えっえっえ〜!」と目を丸くする私。「あったわよ、お父さんが残してくれた書斎の本棚に」。私の実家に、数えるほどしか行ったことがない妻が知っていることに驚くと同時に、本の存在さえ知らなかった放蕩息子としての私の記憶が蘇ります。
「すべて…知ってたんだね…きみは…」。
【日本の平凡社刊「中国古典文学大系、聊斎志異」】
さて、中国では、ご紹介した「聊斎志異」からは古くは1960年代から、そして今も次々に映画化されています。「倩女幽魂」や「画皮」、「画壁」などで、原作に書かれた人間の愚かさ、情念、やさしさ…、そこに怪異界から"入って来る"テーマは、今も生き生きと描かれています。今の日本ではあまり見られない、怪奇・ロマン•恋愛・道徳・時代劇・アクション・VFXなどがミックスした娯楽大作として人気を呼んでいます。今年は「画皮2」の公開が予定されています。英語字幕も多分付いていますので、中国へお越しの際は是非、大画面で中国ファンタジーを満喫してみてはいかがでしょう。(山下哲弥)
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