中原:安藤さんの作品は割りと伝統的な水墨画に属するのかな、と思ったのですが、今後の方向性としてはやはり韓先生のような…こう、どこかモダンチックなものを目指しているのでしょうか?
安藤さん:水墨画って、結構保守的な風に見られがちなんです。だから『現代水墨画』と『伝統水墨画』って分かれているように見えますよね。日本は割りと保守的で、伝統水墨画が主流と言うか、常に新しいものを追い求めてる人たちっていうのは水墨画の世界のアウトローみたいな感じなんです。私も中国に来たばかりの頃は現代水墨画的なものをずっと描いていたのですが、その後伝統水墨画も、もっと細密な絵とかも描いて、技法とかも色々試してみたりしたんですね。でもやっぱり、自分の描きたいものって何だろう、と考えてみたときに、韓先生の作品と出会って。それで私が目指したい、挑戦したいと思う方向にカチッとリンクしたんです。
受付を抜けると、大きな仏の像が私たちを迎えてくれる。階下から受付のある2階を突き抜ける規模の大きな像。まるで御仏の手のひらに乗っているような錯覚を覚える。
中原:その方向性に気づいたのはいつ頃でしたか?
安藤さん:去年ですね。それまでの先生というのが、現代水墨画も伝統水墨画も両方描く方で、とにかく現代とか伝統とか技法とか、そういうものに囚われないでいろんなものを勉強しなさいっていう方だったんですね。それでずっといろんなものを描いて来た、という感じです。
受付からスロープへと道を折れるまでの大きなホールには、かなり大型の水墨画作品が飾られている。『韓先生は、独自の字体を作ってしまった人なんですよ』と安藤さんが紹介してくれた通り、大きな絵に添えられた文章の文字は、どこか可愛くてどこか古代的な印象だ。
中原:そしてこれから卒業というときに、韓先生の作品に出会ったと。
安藤さん:韓先生の水墨画って、すごく勢いがあるんです。ダイナミックで。私自身が表現したいものっていうことを考えると、この勢いのある水墨画っていうのが『ああ、これだな』って『いいなぁ』って。私はこういう表現をしたいんだなっていうのをすごく感じたんです。
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