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日本人スタッフのつぶやき47―たかが忘れ物されど忘れ物

2011-05-25 09:54:51     cri    

たかが忘れ物されど忘れ物

 先日、久々に子供の学校に行ってきました。この日は朝から肌寒く、家に居る時にはそれほど感じなかったのですが、ベランダに出ると体感温度で20℃を下回っている感じでした。朝食を終えた子供は通学バスに乗る時間が迫り、あわてて出て行ってしまいました。子供部屋にはジャンパーが残されており、急ぐあまりジャンパーを着るのを忘れ、Tシャツの格好だけで出かけたようです。私は勤務シフトの関係で、この日は当番ではなかったため、家に居ましたが、しばらくして会社に着いた家内から電話で「外はかなり寒くて、Tシャツだけでは風邪をひくから、薄手のジャンパーを学校に届けてちょうだい」と業務命令じゃなかった、ご要望。

 確かに私は今日出勤日でなく、時間があり、行っていけないこともないが、とのたまったのですが、学校に行くには服装などの準備が必要だし、ましてや平日の日にお父さんがのこのこ学校に行ったら、子供は友達の手前、きっと嫌がるだろうなと勝手に想像しながらも、他に行ってくれる人もいないし、どうしようかと思案していました。でも半袖のTシャツでは今日は余りにも寒いし、風邪をひかれたら、それこそ大変だと思い直し、結局、スーツを着て、会社に行く途中寄ったとのストーリーでやってみようと決め、薄手のジャンパーを紙袋に入れ、さっそうと出かけました。学校の前に着くと、学校の役員関係と思われるお母さん方がタクシーを降りて、次から次へと学校に入っていきます。私もその後を追うように学校に入って行きました。

 平日の午前中に学校で知り合いのお母さんと会うのは何ともばつが悪いものです。幸いお母さん方とは面識がなく、朝の挨拶だけで済みほっとしました。学校は第一時限目の授業中で辺りはシーンとしていて、教師の声が良く聞こえてきます。そして、子供のいる教室にとうとう近づいてきましたが、今度はどうやって渡すかが問題でした。ボーと教室の前に立って休み時間を待っていても不審者に間違われそうだし、ではどうする、この状況はあまり良くないなと感じながらも、でも何とか渡せないものかと思っていました。廊下の窓の外からは明るい日差しが差し込んでいるのに、私の心は少しも明るくなりません。でもそういう時にも、やはり救いの神はいるのですね。廊下を行ったり来たりしていた時、隣の教室の生徒がいないがらんとした部屋の中で、一人の先生が次の授業の準備をしているのをたまたま見つけました。そこですかさず、先生にお願いしてジャンパーの入った紙袋を渡してもらうことになり、やっと心が軽くなりました。学校から帰ってきた子供は、開口一番、「今日は寒かった。でもジャンパーがあったから助かったよ。ありがとう。」と嬉しい言葉を言ってくれました。たかが忘れ物されど忘れ物。忘れ物を届けるだけでも結構気を使ってしまいました。今度は私が忘れ物をしないよう気をつけようと思います。(小野博民)

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