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「交流事業は継続性がもっとも重要だ」――日本財団理事長・尾形武寿さん

2011-05-22 16:14:03     cri    

――自然災害を前にして、中国には「両国の間にどんな問題があっても、隣国の皆さんに自分の力を捧げたい」という声が多かったです。それについてどう感じられますか。

 それはとてもありがたいことです。日中間にはもちろん政治的にいろいろな問題を抱えているのも事実です。ただ、われわれ民間人としては、本来、政治的な緊張状態にあろうとも、やるべきことはやる。そして、政治とはかかわりのないチャンネルで交流事業を続けることによって、本来もっと大きな問題になるべきところを未然に防ぐ効果があるだろうと思います。民間人は民間人同士で常に文化や相互理解に関するいろいろな交流によって、潜在的に持っていたものも徐々に薄れていく。皆さんからいただいた援助、支援は本当にありがたいことで、これによって多分「嫌中派」という人々も、「中国はそれだけやってくれたんだ」ということで、日本国内でも考え直した人も多いだろうし、こういうお互いの相互協力、相互扶助というのはこれからも続けられればいいなと思っています。

――自然災害を前にして、助け合うのが当然のことですが、隣国間で、普段からやるべきことがまだたくさんあるかと思いますが、

 日本と中国、韓国というのは、人種的にも民族的にも非常に近いと思いますし、とくに距離的に言えばものすごく近い距離で、お互いに交流しあってきた仲ですから、理解しやすいと、皆思っているはずなんですよ。同じ漢字文化であるとか、何千年来の隣国同士であるとか言われますが、実は、まったく違う文化、違う文明なんです。偶然に漢字をお互いに使っているから、欧米よりも中国を理解するのは早いかもしれない。けれども、基本的なところでは違うもんですね。違うもの同士は、お互いに誤解の上に、錯誤の上に、お互いにもう分かっているはずだという前提で物事を進めているから、何か問題が起きたときは、なかなか解決しづらいのだと思います。それを解消するには、シンポジウムや学術交流するほうがいいという人もいるんです。それも立派な事業ですけれども、例えば、誰かと一緒に一晩お酒を飲んで、食べて、そして羽目をはずして大騒ぎして、翌日真っ赤な顔をして「おはようございます」というのも、大事なことだと私は思います。そうすることによって、相手の本音とか、考え方が分かる。しかも、これは一度やったらそれでいいということではありません。人は生まれ育って死んでいくわけですから、新しい人がどんどん出てくるのですよ。だから、両国間が継続的に長い時間をかけて地道にやっていかないと、本当の意味での相互理解が育たないと思います。

――来年は日中国交回復40周年という節目の年ですが、今後の交流事業に関して、またどういう風に考えておられるのでしょうか。

 相互理解の方法というのは、いくつかありますが、このクイズ大会でやっていることもその中の一環だと思います。交流事業は継続性がもっとも重要です。今まで以上に事業を発展させなくてはいけないし、それから両国間の往来をもっと大きくしなければなりません。「百聞は一見にしかず」という言葉がありますけど、見てもらうことは一番いいと思います。短期間でもいい、相手の国を見てもらうのは必要だと思います。私自身は日中間を百回以上往来していますから、ほかの日本人と比べれば、中国のことを見聞きしている。それでも、やっぱり分からないところが、まだまだたくさんあります。一回でも来てみると、違った見方が出来るから、ぜひ日本の人たちは故宮とか万里の長城だけじゃなく、もっと一般の市民生活を理解するような体験をしてみたらいいのではないかと思います。(聞き手:傅 穎  写真:「人民中国」社 孫立成さん)


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