5月5日 端午の節句
本日はこどもの日、端午の節句でございます。
端午の節句と言えば、私も日本に居りました時分は子どもらでかぶとやこいのぼりの見物に参り、銭湯の菖蒲湯に身を浸したものでございます。
さて、上のお写真は、先日中国の方からいただいた鯉細工でございます。
中国にもございます端午の節句(中国では「端午節」と申します)、農暦の5月5日、今年は陽暦6月6日がその日でございますが、この鯉細工は日本のこいのぼりと同様に際物なのでございましょうか。
いいえ、中国語では「魚」と「余」の発音が同一でありますことから、吉祥のシンボルとしてこうした魚の細工物や雑貨を非常に多くお見かけいたします。
魚=余=吉祥
つまり、豊かであることを示すのでございます。
こうして見るとこの鯉細工と日本のこいのぼりにはやや隔たりがございますようですが、日本のこいのぼりは、中国の「鯉は龍門を登りて龍となる(鯉魚跳龍門)」との謂れに由来するとも言われているそうでございます。
そしてこのような時分に鯉細工を下さったそのお方に私は、「まあ、ちょうど良い際物を有難うございます」とお礼を申し上げました。
彼のお方は、日本のことを深く理解しておられます御仁でありますもので、私はてっきり日本の端午の節句にちなんでこの贈り物をこの時分に下さったのでございましょうと考えたのです。
すると彼の御仁は、「素敵な露天で見かけて、ふとあなたのお子が頭に過りましたの。端午のことはすっかり忘れていたわ」と申されました。
誰かがふと脳裏を過るとき、そんなときに葉書の一枚でも、こうしたささやかな贈り物であっても、今のご時世でございましたらメールでも電話でも、ふと形にできる方というのは、非常に優しいお方なのではないかと私は思っております。
そしてこうした小さな振る舞いが、心のコミュニケーションが不足しているとされる現代の「21世紀ネコ型人間」(猫のように個人主義な人々、という意味の造語でございます)を救ってくださるのかもしれませんわね。
――袖触れ合うも多生の縁。 (中原美鈴)
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