ある日の出来事
それは午後出勤の日の出来事でした。いつものように地下鉄に乗り、たまたま席が空いたので座った所、前日からの寝不足がたたったのか、すぐ深い眠りに入ってしまいました。しばらくして、何やら肩を軽くたたかれている感じがしてふと眼を覚ますと、前に立っているおばさんがしきりに何か言っています。寝起きの頭の中はまだ中国語の思考回路が働かず、何を言われているのか分からない状態で、ぼーとしていました。おばさんは今度は左の方を指差しました。左を見るとなんとそこには松葉づえをついた人がいるではありませんか。混んでいる車内で厳しそうに松葉づえをついている姿には悲愴感が漂っていました。すぐさま席を譲ったのは言うまでもありません。そして、もし僕だったらそういう行動が取れただろうかと考えると、満員電車の中でのおばさんの人を気遣う行動には頭の下がる思いでした。
実は中国ではこれに限らず、地下鉄やバスの中でも老人や身重の人、身体障害の人などを見かけると、若い人がすぐ席を譲る光景が良く見られるのです。それが実にスマートで、さわやかさをも感じます。バスなどでたまに老人が立っていて、近くの人が気づかない時などは車掌さんが「そこの若い人、席を譲って!」と注意を促し、若者も嫌な顔一つせず席を譲っています。
中国の人に対してはネット上などでいろいろ言われることがありますが、この年配の人や手助けが必要な人に対しての心遣いは中国人の美徳の一つなのではないでしょうか。
人を思いやる人情味は本当にいいものですね。今回は見ていて気持ちが晴々してきました。人を気遣う心、私自身これをいつまでも大切に、また自分も実践していきたいと思っています。 (小野博民)
| ||||
© China Radio International.CRI. All Rights Reserved. 16A Shijingshan Road, Beijing, China. 100040 |