「日本で4年間中国語の勉強をしていたこともあって、今では問題なく生活できています」。
しかしながら、生活上で言葉が通じることと、お芝居で言葉を表現することは同じ層に位置するものではありません。
「言葉を知れば知るほどそれよりももっと大事なものがあると最近感じています」。
中国の現場では、「日本語のせりふを日本人に」との主旨で日本人役者を募集する場合が大半ですが、「日本人の所作が必要」であるために、「せりふが中国語の日本人役を日本人に」とのケースが少しずつ見え始めています。
これまでせりふが中国語である場合はほとんど中国人が日本人役を演じていましたが、そんな状況に変化が現れ始めているのです。
そんな中で松浦新さんはこの春節、日本人として、そして中国武術に長年携わってきた者として、日本の『武』である殺陣の修練を行ったそうです。
「僕はこの春節、日本に帰国し、倉田プロモーションで殺陣の習得に取り組みました。僕自身はこれまで中国武術をやってきましたが、日本の『武術』と中国の『武術』の違いを通じて、日本人と中国人の違いと言うのが垣間見えて、技術そのものを身に着けるということようも、より大きな発見だったと感じています」。
今後の発展のために、絶えず様々な分野の経験を積むことに努めている松浦新さん。
「暖かくなったら、乗馬の訓練もする予定です。北京よりやや北の河北省にあり、大河ドラマのために若手役者の乗馬訓練などを行う実績のある馬場での訓練と言うことで、とても楽しみにしています」。
自らの身体能力という長所を生かして、果敢に挑戦する松浦新さん。こうした技術の習得に挑むごとに得られるものは、役者としての幅であり、人間としての深みでもあるのでしょう。
「今後のビジョンとしては、アクション俳優という枠組みにはめるのではなく、『アクションもできる役者』になりたいです」。
彼はそう言って、その強いまなざしでまっすぐ前を見据えていました。
総集編取材日、お二人と共に
初めての「登龍門」の取材から数ヶ月が経ちましたが、メンバーはそれぞれ「登龍門」というその枠に囚われず、国や言葉を越えた表現の幅を広げるための石段を、着実に積み上げているようです。そして一貫して変わらない想い、それは「中国で役者を目指す日本人」であることにおいて、お互いの文化を尊重し、その真髄をその刹那ごとの自分で吸収しながら、表現していきたいという心底(しんてい)。
松浦新さんを始めとする「登龍門」のメンバーに、今後どのような役者になって欲しいと願うか、吉岡真衣子さんにお尋ねしたところ、彼女はこんな風に今回の取材の最後を締めくくってくださいました。
「例えば映画であれば、世界の中で中国の映画産業というのは今後大きなシェアを占めていくと思いますが、そんな中で、中国映画の中で、日本の役者がどんなパフォーマンスを見せるかというのは、中国や日本のみでなく世界に向けてもインパクトのあることだと思うので、自分の文化を大切にしつつ、自分の持てるものを最大限に発揮して、存在感のある役者になっていって欲しいなぁと、期待しています」。
(取材/文:中原美鈴)
さて、「これからの中日交流を支える若者たち」総集編、次週の第二回はウェディングプランナーとして活躍するMiyoshiさんの取材を振り返ってみましょう。
今年から独立、フリープランナーとして個人事務所を構えるMiyoshiさん。現在の仕事場を訪ねて、その様子を伺いました。どうぞお楽しみに!
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