第四回:留学生今昔
「成人式」。
かつてこの言葉は、十数年前に北京で成人を迎えた私の心を酷く暗くしたものです。
十数年前、それは未だ成人式が1月15日に定められていた1990年代の頃のお話です。日本で転出扱いとなった上で北京大学に入学した私は、その日のみ帰国しても成人式への参加が望める状況ではありませんでした。90年代の中国は、現役で現地大学に入学する日本人もまだ少なく、その多くは企業派遣であったり、日本で短大や大学を卒業した年上の留学生でした。成人の日、私は数少ない同年代の友人らとささやかなお祝いをして、将来の夢や展望、そして社会のことなどを一晩中語らって過ごしたことを覚えています。
それもまた、一つの成人式の形なのだと思えるのは十数年の時を経た現在だからなのでしょう。
そういう意味では、今回開催された「中日合同成人式」をメディアという立場から見守りつつ、私の意識の中で「成人式コンプレックス」のようなものが一つの区切りを迎えたのかもしれません。
合同成人式が開催された798芸術エリアも、1990年代には工場跡だった
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