冬の風物詩

ナビゲーター　黄競

　日本では冬の風物詩と言えば、柚子湯やクリスマスの飾り、それにお鍋などが連想されますね。中国では北方地方と南方地方の風俗習慣はずいぶん違いますので、冬の風物詩もかなり異なりますが、どれも皆の楽しみです。今回の中国メロディーは冬の風物誌をテーマに、中国各地の一般庶民の冬のライフスタイルをご紹介しました。

北京の冬の風物詩―サンザシ飴

　北京の冬の風物詩というと、羊の串焼きや焼き芋、サンザシ飴などがよく挙げられます。中でもサンザシ飴は特に女性や子どもに人気です。これは北方地方のおやつでサンザシの実を串に刺し、飴をかけて固めたものです。外側の飴がパリパリとした食感で甘く、中のサンザシはシャリシャリとした歯ざわりで甘酸っぱく、二つの味があいまって、とてもおいしいです。また、サンザシ飴の売り子の声はとても特色があり、その抑揚ある売り声は北京の代表的な風物詩です。

「冬中の春」―松花江の樹氷

　寒い冬、北国の大地が寂しくなる季節、東北地方の吉林省を訪れれると、たいへん珍しくて美しい風景が見られます。朝早く、もやのかかった松花江の畔を散策すると川辺の樹木が樹氷や雪に覆われて、まるで数え切れない白雲のように見える姿はでとても壮観です。この松花江の樹氷の景色は詩の世界のような美しさを持っているため「冬中の春」と喩られ、また中国東北地方の風物詩と讃えられています。

冬至の「酒醸湯圓」

　冬、中国の江南地方では厳しい寒さはありません。それどころか不思議な生命力さえ感じられます。江南水郷の冬の風物詩といえば、文人たちはいつも雪の中で凛と咲く梅の花を連想しますが、一般庶民にとってやはり冬至の日に食べる「酒醸湯圓（甘酒団子）」でしょう。この「酒醸湯圓」は甘酒の中に団子を入れたもので江南地方の人々はよく好んで食べています。冬にこの「酒醸円子」を食べると体があたたまると言われます。その味わいは江南水郷の冬の風物詩となりました。

冬の風物詩―火鍋

　冬の寒い日に親しい友人達と一緒にアツアツのシャブシャブを食べながらおしゃべりするのは本当に楽しいですね。

　中国式しゃぶしゃぶは蒙古族の羊肉料理が発祥です。簡単に作れて、しかも美味しいことで中国各地の人々に喜ばれています。地方によって、シャブシャブに使う食材や味付けも様々です。代表的なものに北京の火鍋「涮羊肉（羊のしゃぶしゃぶ）」と四川省の「麻辣火鍋（マーラーひなべ）」があります。特に、麻辣火鍋の辛さは中国各地の冬の食卓で大人気です。寒い冬にこの麻辣火鍋を食べると体が温まり美容にも効果があると言われています。

　番組の中でお送りした曲

　1曲目　氷糖葫芦（サンザシ飴）

　歌は民謡歌手・馮暁泉です。

　歌詞

　サンザシ飴は酸っぱいと言うが

　酸っぱい中にも甘みがある

　サンザシ飴は甘いと言うが

　甘い中にも酸っぱみがある

　サンザシ飴は美味しくて健康にもよい

　これを食べると、20歳は若く見える 　

　2曲目　東北人都是活雷鋒（東北人はみんな雷鋒）

　雷鋒は中国では誰でも知っている名前です。人民解放軍の模範兵として彼は革命精神に優れ、道徳的にも立派な人物だったことから、人民の模範となる人物として中国では尊敬されています。この曲は漫才のような口調で東北人の庶民生活を歌っています。

　歌詞：　

　わしらは東北人さ

　わしらの特産は朝鮮人参さ

　わしらは豚肉と春雨の煮込みさ

　わしらはみんな現代の雷鋒さ

　3曲目　売湯圓（湯圓を売る）

　この歌は中国全土で知られる民謡です。

　歌詞は

　湯圓を売る、

　湯圓を売る、

　兄さんの湯圓はまん丸い。

　湯圓を食べたら、

　円満になる

　4曲目　火鍋娃娃（火鍋娘）

　四川省方言で歌うこの歌は子供たちが家族と一緒にマーラー火鍋を楽しむ様子を描きました。

　歌詞：

　川辺の橋の下で

　家族が火鍋を囲んでいる

　赤くて辛いスープはまるで霞のようだ

　熱々の火鍋よ

　好い匂いが暖かい家に漂う