海洋権益と島嶼紛争は、2012年の中国外交のキーワードだといえます。南海問題が収まらない中、東海で釣魚島問題が起こるなど、中国周辺の情勢が複雑に変化し、島嶼紛争が巻き起こる過程で、中国の外交はどのように周辺国との関係を調整し、アジア太平洋地域での平和と安定を維持して行くのでしょうか。
2012年、中国と一部周辺国の関係は落ち着かず、上半期に起きた黄岩島の問題や下半期にエスカレートした中日両国間の釣魚島問題など、海洋権益と島嶼紛争は中国外交の中で1年間にわたって続いています。中国共産党の高級幹部の養成機関である中央党校の戦略研究所の高祖研究員は、これら紛争の背後にはアジア太平洋各国の海洋開発情勢と一部の国の国内政治への配慮があるほか、アメリカの要素も含まれているとして、 「アメリカはアジア太平洋地域でより多くの外交資源を得るという狙いを2009年から明確に示しており、この地域における支配を強めようとその後一連の動きを見せた。その一環として、アメリカは中国とその周辺国との矛盾や問題、特に海洋領海の権益紛争を利用している。アメリカは曖昧な態度でフィリピン、ベトナム、日本などの国に中国との外交で強硬な態度をとるようそそのかし、問題を大きくしようとしている」と語りました。
5年に1回開かれる中国共産党の党大会が11月に北京で行われました。大会での報告は、今後の中国の内政と外交の発展路線を示すものとして位置づけられており、「中国は平和な発展を堅持し、武力解決に反対する。そして武力による脅威も恐れない」と強調しています。外交に問題や紛争、特に海上問題をどのように解決するかについて、中国楊潔チ外相は、「中国と一部周辺国は南海・南沙諸島の一部の島嶼の主権や領海の範囲については意見が異なっている。国の領土主権を守るという中国の決意は固く、紛争に関しても関連の双方が対話を継続しなければならない。関係国が中国のように誠意を持つことを期待し、問題解決に向けて取組んでほしい」と述べました。
また党大会の報告では、中国は隣国と仲良くし、隣国をパートナーとみなし、互恵協力を深く推し進め、自国の発展を以って周辺諸国の発展を促進していくよう努めるとしています。これについて高祖研究員は、「紛争などの問題に我々は冷静に対応し、関係国との協力を強化し、互恵協力をさらに深く推し進めていかなければならない。中国が発展する中で、これらの国が更に多くの利益を得られるよう努める必要がある。そして、中国とその周辺国との矛盾を利用するのは長続きしないことをアメリカに示すと同時に、中国とアメリカの間の意見の食い違いを利用しても、最終的には中国とその周辺国の利益を損なうだけだということを周辺国は知る必要がある。周辺国から言えば、中国との地理関係を変えることは不可能である限り、長い目で見れは、中国との関係発展が自然と重要になってくるのだ。従って、中国とアメリカ、および周辺諸国は良好な相互関係を築かなければならないのだ」と話していました。(劉叡、中原)
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