今年の北京は秋が長かったせいか、去年と比べるとなんとなく穏やかな冬のような気がします。そして来月23日には春節（中国のお正月）を迎えます。春節が終わればもうすぐ春というのですから、今年の冬はとっても短いことになります。

　しかしやはり日が落ちると、急激に冷え込むのは例年どおりです。この寒さの防寒着として欠かせないのはダウンジャケットです。今、流行の袖のすそが広がったデザインなんてここでは、役に立ちません。とにかく寒さを防いでくれることが第一で、お洒落は二の次となってしまいます。とはいうものの、やはり女性としては、お洒落も楽しみたい。　

　そんなわけでこの頃になると、日本人女性の間では「どこでダウンジャケットを買うか、どんなダウンジャケットを手に入れるか」が話題になります。中国にももちろんたくさん販売されています。しかし、中国人女性の好みと日本人女性の好みには少し違いがあるのです。そこで、日本人女性がよく利用するのが、「オーダーメイドダウンジャケット」です。何から何まで自分の好みどおりに作ってくれるのですから、夢のようなお洒落です。さらにお針子さんが家まで来て採寸してくれるというのだから、至れり尽くせりです。そして肝心のお値段もとっても良心的なのです。とても魅力的です。

　しかし、それほどの好条件が揃っているにもかかわらず、私は「自分イメージどおりに指示してつくった完成品の出来上がりが気に入らない」（つまり自分のセンスが問われるわけですよね）という失敗を恐れて、今一歩踏み出せません。昨年も同じように悩み、結局、「まだ着られるけど形が古い」ダウンジャケットを仕立て直してみました。これが以外に大成功でした。出費も抑えられ、リサイクルにも成功です。これぞエコ生活。

　ダウンジャケットで、あれこれ悩むのも北京ならではの冬仕度です。（吉野綾子）