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　【李玉（リー・ユー）監督の独占インタビュー】

　李玉（リー・ユー）監督の最新作『観音山（ブッダ・マウンテン）』の山東省プレミア上映会が3月3日に済南市内の新世紀電影城で行われました。これに合わせて、山東省内の大手夕刊紙『斉魯晚報』が李玉（リー・ユー）監督に独占インタビューをしました。

　～『観音山（ブッダ・マウンテン）』制作のきっかけについて～

　【リー・ユー】「生と死」をテーマにした映画といえるでしょう。シルヴィア・チャン演じる役を元京劇役者に設定しました。交通事故で息子を亡くした彼女は、生活に暗い影を投げかけられ、現実に目を向けられない日々が続きます。制作中に、四川大地震が起きたので、地震に関連した要素も取り入れました。

　四川大地震で亡くなった北川県委員会の馮翔副宣伝部長についての話を聞いて大きな感銘を受けました。彼は本当にすばらしい人間で、訃報に接し一晩中泣き続けました。そして、これをイメージした映画を撮ることを心に決めました。

　～映画のタイトルについて～

　【リー・ユー】実は「観音山」とは成都鉄道の駅名です。人生の「一駅」に喩える意味もあり、異なる人生の軌跡を刻んできた人たちが偶然この駅でめぐり合ってしまうという設定からストーリが始まるのです。そんな出会いから、人は見失った自分を見つけ、愛と心の安らぎを見つけることができるかもしれません。

　～主演の範氷氷（ファン・ビンビン）について～

　山東省出身者同士である李玉（リー・ユー）監督と範氷氷（ファン・ビンビン）がタッグを組むのは、2007年の話題作『苹果』以来の2度目。演技派女優としてのイメージが薄いと言われる範氷氷（ファン・ビンビン）ですが、李玉（リー・ユー）監督作品への出演をきっかけに、より強い存在感を身につけてきました。2度目の起用についてその理由を語る李玉（リー・ユー）監督。

　【リー・ユー】性格といえば、範氷氷（ファン・ビンビン）は付き合いやすい人だと思います。山東省の省民性かもしれませんが、豪快で飾り気のないところでしょうか。もちろん、楽しい人でもあるので、以前一緒に仕事していたときはとてもやりやすかったのです。当時は、候補は何人か上がっていましたが、一番自分のことを理解してくれたのは範氷氷（ファン・ビンビン）だと思います。

　演技のほうは、彼女にはさらに成長していく余地があるので、ポテンシャルを持つ女優さんですね。東京国際映画祭での受賞により、名実ともにトップ女優の仲間入りを果たしたと思います。『観音山（ブッダ・マウンテン）』での演技は本当に光っていて、魅力的でした。また、実際映画を見ていただかないと、彼女の魅力が分からないでしょう。

　～監督業について～

　女性映画監督として李玉（リー・ユー）は女性の視点で描く作品を中心に活動してきました。代表作の『紅顔』（2005年）や『苹果』（2007年）はいずれも女性が主人公となっています。

　【リー・ユー】女性監督より、普通に監督の李玉（リー・ユー）と呼ばれたいですね。別に「女性である」ところを強調しなくてもいいです。今までの作品を見てみますと、確か、女性の視点で男性を批判した要素がありました。それは、自分自身の思い入れがあって、しょうがないと思いますが、でも、男性を批判するのは映画を撮る目的ではなく、やっぱり、恋や友情、家族愛などさまざまなテーマで、映画を通して理解を深めることではないでしょうか？今回の作品では「男性と女性の和解」がテーマの一つでもあると思います。

　関連報道はこちら：

　『観音山』：東京国際映画祭に輝いたあの話題作が遂に中国で公開

　https://japanese.cri.cn/981/2011/02/17/181s170848.htm

　『観音山（ブッダ・マウンテン）』が北京でプレミア上映会、主演の範氷氷（ファン・ビンビン）に大注目

　https://japanese.cri.cn/981/2011/03/02/141s171423.htm

　【李玉（リー・ユー）監督】

　1973年12月生まれで中国山東省青島市出身の女性映画監督、脚本家としても活動中。李玉（リー・ユー）は大学卒業後、テレビのパーソナリティになるが、数年後、活動の場を北京に移すことに。最初の頃はテレビの仕事をする傍ら、小説や脚本の作成を続けていました。2000年にドキュメンタリー映画で監督デビュー。代表作には、『今年夏天（仮題：残夏）』（2001年）『紅顔』（2005年）『苹果』（2007年）などがあります。李玉（リー・ユー）と範氷氷（ファン・ビンビン）がタッグを組むのは2007年の『苹果』以来2度目です。