CFGC・中国映画グループの韓三平代表取締役はこのほど、2010年中国映画の興行収入が１００億元（約１２００億円）を超えたことを明らかにしました。２０１０年は中国映画にとって「節目」になった一年でした。１２月２７日までの統計では、中国映画（上位１７本）の興行収入は３４億６０００万元（約４１５億元）、洋画（上位１７本）の収入は３７．９億元で、例年にない「互角の勝負」になりました。

　興行収入だけではなく、配給、プロモーションなどを含む映画産業全般が大きく成長していることが印象付けられました。

【地域とのコラボレーション】

　今年は地域とコラボレーションしてプロモーションを展開する「地域色」の濃い作品が多かったようです。興行収入1位を決めた『アフターショック　原題：唐山大地震』（フォン・シャオガン監督）は、映画の舞台となった唐山市内の体育館でプレミア上映式を開催し、その舞台挨拶でスタッフから地震犠牲者への花束贈呈が行われたということです。海南省の観光都市・三亜市をロケ地にしたフォン・シャオガン監督の新作『狙った恋の落とし方２　原題：非誠勿擾２』は、興行収入はもちろん、地元の観光事業にも大きく貢献しているでしょう。また、フォン監督の来年の『重慶大轟炸』では重慶市とのコラボレーションも期待されています。

【題材がますます充実化】

　歴年の映画商戦を勝ち抜いた作品といえば、『HERO　原題：英雄』（2002、チャン・イーモウ監督）、『LOVERS原題：十面埋伏』（2004、チャン・イーモウ監督）、『PROMISE 原題：無極』（2005、チェン・カイコー監督）、『女帝 ［エンペラー］　原題：夜宴』（2006、フォン・シャオガン監督）、『レッド・クリフPartI』（2008、ジョン・ウー監督）など時代アクションが多いという印象が強いかもしれません。今年は、時代アクションのほか、『アフターショック　原題：唐山大地震』、『杜拉拉昇職記（Go LaLa Go!）』(シュー・ジンレイ監督)など、庶民生活やライフスタイルに注目した現代ものも多く登場しています。

【続編が好調】

　アニメーション映画『喜羊羊与灰太狼２』、カンフー映画『イップ・マン２　原題：葉問２』、好評上映中の『狙った恋の落とし方。２　原題：非誠勿擾２』などの続編は、前作と新作の相乗効果でいずれも好成績を収めました。続編の制作も中国映画界で流行するようになるでしょう。

【海賊版問題はまだ未解決のまま】

　以前から海賊版問題に悩まされ続けている中国映画、今年もその取締りに力を入れてきました。今年、インターネット上で「盗まれた」ケースが例年より急増しており、また、短時間でHD海賊版（高画質の海賊版）が出回るなど海賊技術もさらに「バージョンアップする」勢いを見せています。海賊版防止技術の改善も当面の急務となっています。

　　　～2011年中国映画興行収入年間ランキング～ 　　

 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（1億元達成作品、12月27日まで）