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~八仙③漢鐘離と呂洞賓の伝説~

2012-10-22 10:00:49     cri    


























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 仙人はいつも一緒に行動している集団です。実は、その間に、色々かかわりもあります。今日は師弟関係にある二人、漢鐘離と呂洞賓の話をしたいと思います。漢鐘離が師匠で、呂洞賓が弟子です。

漢鐘離の物語

 漢鐘離は本名ではありません。本名は鐘離権と言います。後漢時代に生まれたので、時代の名前、漢を苗字の前につけられました。

 父親は後漢の総大将です。兄も将軍です。

 鐘離権の誕生についても、神話伝説もありますよ。その母親が出産するところに、巨人が大またで入ってきて、「わしは大昔の神様だ、ここに生まれるはずなので来ている」といいました。すると、まぶしい光が火のようにきらめく中に、鐘離権が生まれてきました。

 そもそも神様の生まれ変わりですから、小さい頃から目立つ存在でした。生まれた時に、すでに3歳の子供と同じような大きさでした。大人になると、美男子になりました。

 家庭環境もいいし、鐘離権の人生は順風満帆に見えますが、あまりにも目立つ存在でしたから、嫉妬する人もいます。当時、現在のチベットに当たる吐蕃で、叛乱が起こりました。鐘離権は将軍として出征しました。しかし、大きな権力を持つ大臣、梁冀という人が、大きな手柄を取られるとまずいと、鐘離権を嫉妬して、年老いた人や身体の弱い人からなる軍隊2万人を繰り出しました。

 そのような2万人の軍隊を率いて、勝つわけないじゃないですか!まもなく敵軍に破れ、鐘離権はたった一人で谷に逃げ、やがて山奥のある村に来ました。

 そこで、中国の神仙の世界では、男性仙人のリーダーとされる東王父(とうおおふ)と出会いました。それがきっかけで、一挙仙人への道を辿りました。

 その後、鐘離権は世間に現れたり隠れたりし、後漢の後、三国時代を経て、晋の時代になると、再び、国境地帯を守る将軍となりました。唐の末期には、再び姿を現し、呂洞賓を修行の道に導きました。

漢鐘離が呂洞賓を済度

 呂洞賓は山西省出身の知識人です。しかし、今の大学入試に当たる官吏登用試験を合格した時、すでに64歳でした。出世の道、あまり順調ではありませんでした。

 恐らくそのときの呂洞賓にとっては、もう出世ということをほぼあきらめたのではないかと思います。ある日のことです。呂洞賓は都である長安(現在の西安)の町に来て、ある居酒屋で仙人の漢鐘離と会いました。

 漢鐘離は仙人となるいい原石である呂洞賓に声をかけましたが、すぐに弟子として認めたわけではありませんでした。呂洞賓のほうは、漢鐘離に啓発され、すぐに決心して、道にたどり着こうとしました。しかし、漢鐘離は、「あなたはまだ志を完全に決めていない。この俗世間から離脱するために、更に何度も生まれ変わらなければならない」と言って、その場を去って行きました。

 漢鐘離は消えましたが、呂洞賓はあきらめませんでした。すぐに仕事をやめて隠居し、道を学びました。

 大きな決心を示した呂洞賓を、仙人である漢鐘離はきっとどこかでしっかり観察していたんです。その決心と悟り具合を試すために、漢鐘離は10の場面を仕掛けました。

 最終的には、呂はテストとなる10場面を全部クリアし、漢鐘離の弟子となり、更に、仙人になりました。

 いくつかテストの内容をご紹介しましょう。仙人になるために必要な資質って、何でしょうか?テストのポイントを把握したいですね。

 まず、一つ目をご紹介しましょう。

ある日、外出していた呂洞賓は家に帰ると、家族全員が病死していました。呂洞賓は悲しくもなく、ただ棺おけを買ってきて、家族の死体を埋葬しようとしました。しかし、それをやろうとすると、亡くなった家族がまた生き返ってきました。なんだこれは漢鐘離が仕掛けたテストだったのです。

 面白い考察ですよね。人間の誕生や老い、病気、死などは、逃れられない運命です。生きると死ぬことを見破られなければ、仙人になる資質がないということですね。

 次のテストです。

 呂洞賓はたまたま市場に行って、物を売ろうとしました。値段の交渉をした後、買い手は物を手に取って、突然がらりと態度を変えました。交渉した値段の半分しか出さないと強く言い出しました。

 普通の人なら、こんなことに腹立ちますね。全然信用がないんですもん。普通は口喧嘩になるんでしょうね。

 でも、呂洞賓はまったく気にしませんでした。値段のことで買い手と揉めたりしませんでした。売ろうとした物を捨てて穏やかな表情で帰りました。

 これって、テストのポイントは、お金に気にしないでしょうか?それとも、小さなことで人と口争いしたりしないということでしょうか?両方ともあるかもしれませんね。次のテストです。

呂洞賓は一人で山奥の小屋に住み、読書をしていました。夜に、突然、ノックする音がします。ドアを開けると、年頃のきれいな女性が立っています。「実家に帰省する途中ですが、道を間違えて、夜になってしまいました。一晩泊めてほしい」と頼みました。呂洞賓はその頼みを承諾し、家で休憩させました。しかし、夜中になると、女性はあの手この手を使って、洞賓を誘惑しようとしました。洞賓は少しもそれに心を動かさなかったのです。こうして、女性は三日後にようやく離れていきました。

 必須の誘惑テストですね。美しい女性が代表する人間の情欲って、仙人になるために、捨てなければ成らないものですかね。

 中国の神様の世界では、もちろん、情欲を捨てた神様が大勢いますが、ちょっと矛盾もあります。一旦仙人になれば、同じ階級の仙人と、恋愛できるような気がします。仙人の間では、結婚したり、子供を作ったりしても大丈夫なようです。

 まあ、いずれにしても、漢鐘離はまだ普通の人間である呂洞賓には、情欲を断てと要求しました。

 このほかにも、いくつかのテストがありますが、10回目のテスト、つまり師匠が仕掛けた最後のテストを紹介します。

 呂洞賓は一人で部屋に座っています。突然、目の前には様々な奇怪な形の鬼が現れました。呂洞賓を殴ったり、殺そうとしたりしていました。でも、それに呂洞賓はまったく怖がりませんでした。これらが消えると、更に、数十人の夜叉が現れ、死刑で亡くなった一人の囚人を護送しています。この囚人は血まみれになって、号泣しながら呂洞賓に叫びました。「お前は前世で俺を殺した!命を償ってくれ!」 呂洞賓は落ち着いて言いました。「いいよ。人殺しは命で償えるはずだ!」そういいながら何の躊躇もせず、刀を探し、自殺をして償おうとしました。

 そのときに、空中から「ホ!」という鳴き声が聞こえてきて、鬼神や鬼が全て消えました。漢鐘離は手を叩いて、大笑いしながら現れてきました。「10回あなたをテストしたが、少しも心動かさなかったね。必ず仙人になれるよ。」と話しました。

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