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~中国の八仙伝説~

2012-10-08 14:03:48     cri    


























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 中国では、日本の七福神と似た八仙人の伝説があり、各地で広く伝わっています。日本の七福神は、福をもたらすとして、古くから信仰されている七人の神様です。一般的には、恵比寿、大黒天、毘沙門天、弁財天、福禄寿、寿老人と福袋の七人です。その出身と言いますと、福禄寿、寿老人と福袋三人が中国出身だそうです。また、七福神の代表的な図柄としては、「宝船」がありますが、これは、中国の「八仙渡海図」が元になったという説が有力です。

 中国の八仙、八人の仙人とは、李鉄拐(りてっかい)、漢鐘離(かんしょうり)、呂洞賓、(ろどうひん)、藍采和(らんさいわ)、韓湘子(かんしょうし)、何仙姑(かせんこ)、張果老(ちょうかろう)と曹国舅(そうこっきゅう)の8人です。いずれも民間人から仙人になったもので、それぞれ、様々な伝説があります。中国では八仙人といえば、知らない人はいないほど非常に有名です。

 この8人の仙人はその出身や特徴により、それぞれ老、若、男、女、富み、権力、貧乏、低い身分を代表します。つまり、社会の各階層、あらゆる生活状態の人々を包括しています。八仙人の物語は、唐の時代から伝わりました。でも、構成人物が変わったりしています。明の時代になると、呉元泰という人が、『八仙東遊記』という小説を書きました。その小説によって、ようやく8人の名前が確定しました。

 「八仙東遊記」という小説は、二巻全56回から成っています。前半では、8人がどのようにして仙人になったかが書かれています。そして、後半では、八仙人が揃って、西王母の誕生祝いに参加した後、東海で竜王の息子と揉めるようになり、大暴れをするという物語が語られています。

 今日は、この八仙人が東海を渡る時の物語、「八仙過海」(八仙、海を渡る)をお話します。八仙が東海を渡る時、竜王の息子と戦って、大暴れをしたという話です。

 ある日のことです。八仙人は東海の蓬莱山を訪れます。彼らは雲に乗るという仙人の術を使わず、呂洞賓が李鉄拐(りてっかい)の杖を大きな船に変えて移動しました。八仙人はこの船に乗って、酒を飲んだり、歌を歌ったりしてにぎやかにすごしました。

 東海を管理する竜王の7番目の息子、花竜太子は、悪い事ばかりやる悪竜です。この日に、花竜太子は普段と同じように海底でぶらぶらしていました。ふと美しい音楽が聞こえてきました。すると、音楽に沿って探してみると、船に乗った八仙人が見えました。そして、中でもきれいな女性仙人、何仙姑に惚れてしまいました。何仙姑を奪うため、花竜太子は大きな波を発生させ、仙人たちが乗った船を転覆させました。やっと海面が静かに戻った後、仙人たちは何仙姑がいなくなったことに気付きました。

 花竜太子は何仙姑を竜宮に拉致していました。残りの七仙人は何仙姑を助けるために、直ぐに竜宮まで駆けつけました。花竜太子は海老や蟹などが化けた妖精たちを率いて応戦します。

 漢鐘離(かんしょうり)の道具は、ガマの葉で作られたうちわですが、そのうちわを使って、妖精たちを遠いところまで吹き飛ばしました。李鉄拐(りてっかい)は杖で、花竜太子が化けた大きな鯨と戦っています。しかし、思いがけないことに、花竜太子はまた大きなタコとなり、李鉄拐(りてっかい)の手や足をきつく締め付け、李鉄拐を丸ごとお腹に吸い込んでしまいました。藍采和(らんさいわ)は、急いで自分の道具である花かごを持って、タコを覆うつもりでしたが、タコは急に海蛇と化け、東へ逃げようとしました。張果老(ちょうかろう)はロバに乗って追いかけましたが、ロバの足は蟹に噛まれてしまいます。この時、曹国舅(そうこっきゅう)が現れ、蟹の妖精を殺し、張果老を助けました。最後に、7人の仙人は力を合わせて、花竜太子を破り、何仙姑を解放しました。  

 四字熟語"八仙過海"は、いつも、"各顕神通"と合わせて使われます。"八仙過海、各顕神通"。「八仙海を渡るに、おのおの神通を発揮」という意味です。今は、それぞれの本領を発揮するという意味で使われます。確かに、この物語の中にも、八仙人がみんな出番があって、それぞれ違う道具、法器を使っていますね。うちわや杖、笛、剣、瓢箪、花かご、玉製の板、魚鼓という楽器の一種など、八仙の法器、つまり、神通力を発揮する道具は様々で、本来武器と呼ぶようなものではありません。ちなみに、花竜太子に拉致された美人仙女、何仙姑が持っているのは、蓮の花です。

 八仙人には異なる法器、道具があって、戦う時に、それぞれ違う神通力、つまり本領を発揮します。それぞれの長所を生かすと、最強の仙人集団になるんですね。中国の道教の伝説には、数多くの仙人がいます。その大勢の仙人の中においても、八仙人は民間人の出身と言う、数少ない存在です。庶民に近い存在だからこそ、民間で親しまれ、幅広く信仰されているんですね。修行を重ねれば、誰でも仙人になる可能性があるという暗示が働き掛けているのでしょう。今なら、がんばれば誰でもお金持ちになれるって感じでしょうか?

 今でも、中国には、八仙人を祭る道教の寺院のほか、おめでたい意味を表す春節にかける絵や、戯曲などには、よく八仙人の題材を取り上げています。次回も八仙人の物語を取り上げますので、どうぞお楽しみ下さい。

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