6月中旬を過ぎると、中国の南方地方、例えば、揚子江中下流域の一帯は梅雨に入り長雨のシーズンを迎えます。一方、中国北方地方には梅雨のような長雨はありませんが、急な雷雨やにわか雨が多くなります。
北京は最近、よく夕立ちがあります。雨あがりには、秋のようなさわやかな風が吹き渡り、洗われたような碧い空の下では緑の山々がとても美しく見えますよ。雨の後の美しい景色を眺めたら、唐の時代の詩人・王維の名作・「山居秋暝しゆうめい」という漢詩の句が思い浮かびました。
人なき山は雨に洗われ山は
夕さりくれば空秋めきぬ
月のひかりは松に照りそい
清き流れは石面をはしる
もし、漢詩が中国の輝かしい古代文学の代表だとすれば、伝統管楽器が奏でた美しい音楽は中国古代音楽の代表と言えるでしょう。
中国メロディー、今回は、、尺八が奏でた伝統音楽を特集します。ご紹介するのは塤の曲「古韵新声(古の曲の新たな感動)」、チャルメラの曲「百鸟朝凤(鳳凰のおでまし)」、細篳篥の曲「丰收乐(豊作の喜び)」、尺八の曲「古道吟(古道吟)」の4曲。
一曲目 古韵新声(古の曲の新たなる感動)(塤の曲)
塤は中国で最も古い吹奏楽器の一つで、7千年ほどの歴史を持っています。土を焼いて作ったもので、外形は底が平らな楕円形、内部は空洞です。上端には吹き口があり、側面には5-8個の指穴があいていて、息を当てる角度を変えて演奏します。塤の音色はもの悲しく、婉曲に響き、そのユニークな音色が素朴で古風な曲にマッチします。昔は主に、宮廷音楽に用いられていました。
この曲は素朴で優雅なメロディーで人々の美しい未来への憧れを表しています。
二曲目 「百鸟朝凤(鳳凰のおでまし)」(チャルメラの曲)
チャルメラは中ラッパとも言われ、ペルシャ、アラブのダブル・リード管楽器のソルナから発展してきたもので、民間で最も広く使われている管楽器の一つです。民間では、結婚のめでたい日や祝日のたびに、吹奏楽器・打楽器楽隊とどら太鼓楽隊に欠かせず、チャルメラなしではだめだと言われるほどです。
この曲は中国北方地方で広く伝わる伝統音楽で、有名なチャルメラの演奏家・郭雅志さんが演奏しています。絶妙なテクニックで様々な鳥のさえずりをまね、多くの鳥たちが鳥の王さま・鳳凰に謁見する場面を生き生きと描きました。郭雅志さんの演奏は本当に素晴らしいです。
三曲目 「丰收乐(豊作の喜び)」(細篳篥の曲)
細篳篥は朝鮮族の間で広く伝わる民間楽器で、その歴史は非常に古く、主に中国の吉林省延辺朝鮮族自治州や、その他の朝鮮族が集まる地区で演奏されています。細篳篥の音色は高く、朝鮮族らしい楽器です。
この曲は細篳篥の独特な音色で朝鮮族の人々が歌ったり踊ったりして豊作を祝う楽しい場面を描き、朝鮮族の伝統音楽のユニークさを充分に表現しています。
四曲目 「古道吟(古道吟)」(尺八の曲)
尺八は中国の伝統吹奏楽器で、1800年ほどの歴史を持っています。元々は民間に広く伝わる楽器で、今から1300年の隋の時代、宮廷音楽に用いられていました。その後、尺八の地位は徐々に笛や簫などの楽器に取って代わられましたが、今でも中国南方地方の福建省と台湾で使われています。また、尺八は日本に伝えられ後、日本の民間音楽の重要な吹奏楽器となりました。
この曲は尺八のまろやかな美しく、もの悲しい音色で古と現在(いま)が交錯していく中に、明日への希望と平和へ の願いが込められた歌です。この曲を聴く度にいつも新しい感動があります。
この番組へのご意見・ご感想などがございましたら、ぜひお聞かせください。
宛先
〒100040 中国国際放送局日本語部「中国メロディー」係
メール nihao2180@cri.com.cn
| ||||
© China Radio International.CRI. All Rights Reserved. 16A Shijingshan Road, Beijing, China. 100040 |