春から夏へと移行するこの時期、北京では様々な綺麗な花を観賞することができ、多くの美味しい果物を味わえます。本当に嬉しいですね。

　中国の各地方には花にまつわる民謡が多いですが、中国人にとって一番馴染み深い曲といえば、江蘇省の有名な民謡「茉莉花（茉莉花・ジャスミンの花）」です。番組ではこの曲を始めとして、貴州省の民謡「好花紅（美しい花）」、カザフ族のラブソング「可爱的一朵玫瑰花（可愛い一輪のバラ）」、四川省の民謡「槐花幾時開（エンジュの花）」の全4曲をご紹介しました。

　一曲目　「茉莉花（茉莉花・ジャスミンの花）」（江蘇省の民謡）

　茉莉花・ジャスミンの花は中国の多くの地域で広く植えられている花で、その可憐な白い花と甘い香りが沢山の人々に愛されています。また、多くの地方で各ジャンルの「茉莉花」という民謡が伝えられています。

　この「茉莉花」は江蘇省の民謡を基にアレンジしたものです。1920年代、イタリアの有名な作曲家・プッチーニはこの曲のメロディーを「トゥーランドット」というオペラの主要な音楽素材に取り入れ、東洋文化の雰囲気を醸し出しました。今、この歌は中国民謡の代表作として、中国の人々に愛唱されているだけでなく、世界の人々に愛されています。

　この曲を歌っている中国交響楽団少年・少女・女性合唱団の、澄んだ心地よい歌声と迫力ある合唱は本当に魅力的です。

　歌詞は……

　きれいな茉莉花、きれいな茉莉花

　庭に咲いたどの花も　その香りにはかなわない

　一つ摘んで飾りたいけれど　怒られてしまうかしら

　きれいな茉莉花、きれいな茉莉花

　雪よりも白く咲いた茉莉花

　一つ摘んで飾りたいけれど　笑われてしまうかしら

　きれいな茉莉花、きれいな茉莉花

　庭に咲いたどの花も　その美しさにはかなわない

　一つ摘んで飾りたいけれど　来年芽が出なかったらどうしましょう

　二曲目「好花紅（美しい花））」（プイ族の民謡）

　プイ族は中国西南部貴州省の渓谷や平原地帯に多く居住しており、美しい山や水、壮大な景色で知られる黄果樹と呼ばれる滝などはプイ族の人たちが多く暮らしている所です。この美しい自然環境の中で、プイ族の人々は自然と共生する暮らしを続けてきたこともあり、民謡の中にも自然を讃えるものが多いです。

　プイ族の民謡を基にアレンジしたこの曲「好花紅（美しい花）」は私が大好きな曲の一つです。歌詞は意味深ですし、メロディはきれいですし、とても感動的だと思います。

　歌詞は……

　美しい花

　美しい花が咲き乱れる

　美しい花が太陽の下で咲く

　美しい花は枯れても、また咲くでしょう

　愛は無くせば、二度と戻らない。

　三曲目「可爱的一朵玫瑰花（可愛い一輪のバラ）」（カザフ族の民謡）

　この歌は李双江が歌ったものです。李双江は中国では誰でも知っている有名な民謡歌手で、中国音楽界で40年間もの間活躍し、今や重鎮と呼ばれています。彼は十数年にわたって新疆で暮らした経験があるので、多くの新疆少数民族に伝わる音楽を吸収しています。他の歌い手さんにはない独特な歌声で新疆少数民族民謡の魅力を味わえます。李双江が歌ったこの曲を聴くと、美しい夜、カザフ族の若者がドンブラを弾いて恋人に愛を伝える場面が目に浮かびます。

　この曲では、ピアノの美しい旋律と共に、李双江の高らかな澄んだ歌声が人々を美しいカザフ草原へと誘い、そしてカザフ青年と恋人の愛情を生き生きと表現しています。

　歌詞は……

　勇ましい青年イワン・ドタル、

　今夜、私のうちに来て

　あなたの馬を十分に餌付け、ドンブラを持ってくる。

　月が上る時、木の下で、

　あなたと私、ドンブラで心の唄を永遠に唄う

　四曲目「槐花幾時開（エンジュの花」（四川省の民謡）

　この歌も花にまつわるラブソングで、若い女性が母親に見つからないように、恋人が来るのを窓辺でじっと待っている様子をいきいきと描いています。四川の方言で歌われているこの歌にはこの地方の民謡の独特な味わいが感じられます。

　歌詞は、、、

　高い山の上にある　エンジュの木

　一人の娘が窓辺に立って

　あの人が来るのを待っている

　母親が「何を見ているんだい？」と聞くと

　娘は答える「エンジュの花が、もう直ぐ咲くのよ」