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「鼻で吸う酒薬」ー(申光遜)

2012-06-07 13:20:58     cri    

 「鼻で吸う酒薬」 

 曹州に申光遜という判官がいた。生まれは南の桂林だという。実は地元に孫仲敖という役人がおり、申光遜とは同じ桂林生まれだというので、申光遜は親しみを感じてある日孫仲敖の屋敷を訪ねた。ところが通されたの孫仲敖の寝室だった。これはどうしたことかと思った申光遜を出迎えたのは床を出たばかりで顔も洗っていない孫仲敖であった。

 「これはこれは判官どの。こんな格好でお迎えして失礼したした。私も起きてからは顔などを洗いたいのだが、実は持病がありましてな。これまで長い間常に頭が痛み、顔を洗ったりする後に痛みがひどくなりますので、困っております」

 すまなそうにいう孫仲敖を見て申光遜がいう。

 「そうでありましたか!いやいや、ご病気とは知りませんでした。私は気を悪くはしておりません」

 「判官どの、そのお言葉を聞いて安心しました。実に無礼なざまです」

 「ところで、孫どのはこれまで医者に見てもらいましたかな?」

 「もちろん、わたしは持病にこれまで苦しめられましたからな。これじゃあ仕事もうまく出来ませんよ」

 「なるほど」といって、申光遜は孫仲敖の顔色をじっと見つめ始めた。

 これには孫仲敖はいくらか戸惑った。

 「どうなされた?判官どの。私の顔になにかついておりますか」

 そこで申光遜はいう。

 「実は、私の祖父と父は医者でしてね。私も若いころは医術を学んだことがあり、のちにどうしたことか、風向きがかわり、いまでは判官という職についておりますが、孫どの病についてはいくらか心得がありますので」

「え?本当でござるか?」

 「脈を取らしてくだされ」

 こうして申光遜は孫仲敖の脈をとったあという。

 「う潤オん!わかりました。どうであろう。貴公との四方山話はあとにして、明日、道具を持って、またきましょう。貴公の病を治せるかどうかわかりませんが、かなり苦しまれているようですから、なんとかしてみましょう」

 これには孫仲敖は大喜び。

 「ではまっておりまする。で、私のほうはどんな準備を?」

 「そうですな。酒一升、胡椒と干した生姜だけを準備してくだされ」

 「酒を一升?」

 「いかにも。どうなされた?」

 「いや。わかりました」

 こうして申光遜はそのまま帰っていった。

 さて、翌日、申光遜は約束どおり、供を連れて孫仲敖の屋敷にやってきた。そして、酒を温めさせ、胡椒と干した生姜を鉢に入れで細かく粉になるまでつぶし、それをぬるい酒でゆっくり溶かした。そのあと持ってきた箱から二本の黒い長い管を取り出した。

 これを横で見ていた孫仲敖は、不思議がるばかり。酒と胡椒と生姜で自分の病が治るのだろうかと首を傾げる。これをみて申光遜は笑い出した。

 「はははは!孫どの。貴公を酔わしたりするのではないので、安心なされ」

 これを聞いて孫仲敖は苦笑いした。そこで申光遜はかの黒い管を孫仲敖に渡していう。

 「孫どの。この管を鼻の穴に挿し、この酒で胡椒と生姜を溶かしたものを吸いなされ」

 「え?鼻で吸うのでござるか?」

 「いかにも」

 「それは・・」

 「貴公に悪いことはいたさん。私はこれでも医者の端くれですからのう」

 こういわれて孫仲敖は仕方なく、黒い管を鼻の穴に刺し込み、管のもう一方を酒で溶かしたものに突っ込み、目をつぶって思い切って吸った。途端、胡椒と生姜が利いたのか、孫仲敖は顔を真っ赤にして大きなくしゃみを何回がしたあと、目が回るといい、そのまま床にぶっ倒れた。

 これをみた申光遜はまじめな顔して気を失った孫仲敖の側にすわって黙ってみていた。

やがて、孫仲敖は全身びしょぬれになるほどの汗をかき始め、そのうちに目を覚ました。

 「どうでござる?孫どの?気分はどうかな?」

 「あ!これは判官どの。わたしはあまりにも強いものが頭に上ったので、気を失ったようですな。実は死ぬかと思いましたよ」

 「死にはしません。ただ、貴公の頭につまったものを散らしただけでござる」

 「な、なるほど」

 「で、孫どの。貴公の頭はまだ痛いかな?」

 「え?わたしの頭?そういえば、痛みはなくなったようでござるな」

 と孫仲敖は頭をなでながら何度もふってみたが、痛みはなくなっていた。

 「おお!痛くありませんぞ。治りましたぞ」

 こういうと孫仲敖は床をおりて、子供がはしゃぐように飛び回った。

 こうして申光遜は孫仲敖の持病を治した。そこで孫仲敖はかなりの金銭などを下のものに持ってこさせ、自分の病を治してくれた礼にと申光遜にさしだしたが、当の申光遜は、自分は金のためにやったのではないといってどうしても受け取らない。これに感動した孫仲敖は、このときから申光遜を敬い始め、その後は二人は無二の親友になったとさ!

 これは余談だが、この酒で混ぜた薬を鼻から吸って病を治す医術は、中国では西南部の少数民族の間ではかなりつかわれていたという。

















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