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劉さんの膏薬

2010-08-17 11:39:04     cri    
























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 今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?

 この時間は、昔の本「夜雨秋灯録」から「劉さんの膏薬」というお話をご紹介いたしましょう。

 「劉さんの膏薬」

 時は清朝の初期、ある町に小さな塾で読み書きを教えている男がいた。彼を劉さんと呼んでおこう。劉さんは塾でもらう金だけでは暮らしていけなくなったので、仕方なく、塾の先生を辞め、父が残してくれた家をうり、妻や子供と共に小さな住まいに移り、残ったお金で商いを始めた。

 ところが、劉さんは幼い時から正直すぎて、その上ものをケチるということを知らないので、じぇんじぇんもうからない。こうして一年後は元金すらもなくしそうになり、おとなしい妻が暗い顔をし始めた。そしていまの住まいをもなくしそうになったある日、劉さんは住まいの裏に出て考え事をし、ふと前の野原に茂る草木が目に入った。

 「なんということだ!わしはまもなくすっからかんになりそうになっているというのに、草木は馬鹿に生い茂ってやがる」といまいましくなり、野草を抜き取りたくなった。そしてそれをやろうとしていると妻の呼ぶ声がしたので、野草を抜くのは明日でいいいやとその日はやめた。

 その夜、劉さんの夢にある白いひげを生やしたじいさまが出てきた。

 「うふん!劉さんや。お前さんはうらの野原の草を抜こうとしたが、知らんのか?あれはとても効き目のある薬材で三七という。草を干してからオオアブラキリの油などを混ぜて膏薬にすると、いろいろなデキモノを治すことができる。どうしてあんな貴重なものを抜いて捨ててしまおうと思ったのじゃ!」

 じいさまがこういい終わったときに劉さんは目が覚めた。

 「何だ?いまの夢は?まてよ!もしかしたら神様がわしを助けに来てくれたのかもしれない」

 こう思った劉さん、さっそく町で薬の本を買って調べてみると、夢の中のじいさまの言うとおりだったので、さっそく、家にある金をほとんど使いオオアブラキリの油などをを買い込み、そしてかの野原の草を刈って干した。しかし、膏薬を作るための鍋がないので困っていると、外に物乞いが来た。

 「なんだよ。こんなときに!まったく」と外に出てみると、それは女でぼろぼろの服をまとい、跪いてお辞儀をしていた。そこで人のよい劉さんが、家にある食べ物をお椀についで出できて、その物乞いが下げている籠の中の小さな鍋と鍋かけ、それに小さなしゃもじに気が付いた。

 「うん?これは使えるかも」と食べ物を与えた後その物乞いにいう。

 「おまえさん。ものは相談だが、その籠の中のものをわしに売ってくれんかね」

 これを聞いた物乞いは、この話を待っていたかのようにうなずいたが、「これは少し高いよ」という。

 そこで劉さんは、仕方がないと残った金をはたいてそれらを買うと、物乞いはニコニコしながらどこかへ行ったしまった。

 こうして劉さんは干した草を粉にし、物乞いから買った物を使って薬の本に書いてあるとおり、膏薬を作った。そしてこれは良くないと思ったが、試にと町で足にデキモノが出来ている物乞いを見つけたので、その物乞いを家に連れてきて作ったばかりの膏薬を物乞いの足に貼ったところ、翌日には足のデキモノが治り始めたので、劉さんは大喜び。その日から膏薬を売りを始めた。

 こうして劉さんの暮らしはこれまでよりも少し良くなった。

 さて、次の年、地元では雨が降り続き、いたるところで地面に一尺以上の水がたまるまでになったが、夏に入ってからは、なんと暑い上に雨が降らなくなり、どうしたことか多くの人にデキモノが出来てしまった。これに町の数人の名医はおおわらわ。いくら腕が良くても、デキモノで苦しむ人の数が多すぎて手が回らない。それにこれら医者の薬の効き目はいまいち、そこで町の人はデキモノに効くという劉さんの膏薬を買いに来る。

 で、こちら劉さんは、こころやさしく、薬も安く売り、夜中に病人が尋ねてきても必ず起きて手当てを施した。

 と、ある日の夜半。急に久しぶりの雨が降り出し、それが大きくなったとき、劉さんの店の戸を叩くものがいる。

 うん?こんな雨の中をまた病人かな?と起きた。

 「誰ですか?」

 「わしは通りががりの物乞いじゃ。金は少しあるから膏薬を売ってくれんかね?」

 これを聞いた劉さん、さっそく戸を開けたところ、確かに一人の物乞いがびしょぬれになって入ってきた。それに足が悪いのか右足をひきずっているではないか。そこで劉さんが見ると右足に大きなデキモノが出来ていて、そこから膿が流れていた。これはひどいと劉さん、相手が汚くて濡れていることもかまわず、デキモノが出来ているところを洗って膏薬を貼ると、デキモノが急に大きくなったので大き目の膏薬に変えた。するとデキモノは更に大きくなった。こいうして劉さんが又も膏薬を変えようとしているうちに、デキモノはまたまた大きくなるばかり。やがて外の雨が止み、雄鶏が鳴くころに、劉さんはこの物乞いの手当てをやっと終えようとしていた。このとき家の中から妻が出てきて早く休むよう劉さんに勧めたところ、かの物乞いが不意に言い出した。

 「あんた!え?何ですかね?あんたもケチだねえ。はじめから大きな膏薬貼ればいいものの。え?どうかしてるんじゃないの?!」

 これを聞いた劉さんは怒りもせず、ただ膏薬を貼るのに一心。こうしてやっと終わった。これを見た物乞いは、急に笑い出し懐から汚い銭を取り出すと、膏薬を作る鍋の中にそれを放り込み、「それは薬代じゃ。ごくろうさんだったね」と言い残し、足が治ったのか急に立ち上がり、外へ出て行ってしまった。

 これを見て劉さんは一息ついたが、疲れたせいかめまいがする。心配した妻が劉さんを支えて椅子に座らせたところ、かの膏薬を作る小さな鍋の中から、なにやら煙が立ち込めている。これに気付いた劉さんが、妻に鍋を持ってこさせ中をのぞいてみると、鍋の底にさっきの銭がこびりつき、いい匂いがする煙が出ていた。そこで劉さんは、こんなものを鍋に張られたら膏薬が出来なくなると銭をはがそうとしたが、いくらがんばっても取れない。そこで取るのをあきらめそのままにしておいた。

 すると、次の日からこの鍋で作った膏薬は、その効き目が驚くほどよくなり、劉さんはこのときから妻や子供と一緒に豊かに暮らしたという。それに劉さんは八十幾つまで生き、上の息子はのちに出世し、下の息子は親の家業を継いで店をどんどん大きくしていったという、もちろん、底に銭がこびりついたかの鍋はその後末永く使われたわい!!

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