1999年12月、西ディ村は古代の村の代表として世界文化遺産リストに登録されました。村の通りや、建物とその飾り物、上下水道は全て、この村の文化の特徴を示しています。西ディ村は近代社会の影響が及ぼさない地域で、都会の喧嘩さから離れ、地元の住民は、素朴な生活を送っています。

　武漢市からやってきた観光客の仲勇さんは、西ディ村の伝統行事、繍球投げに参加しました。繍球投げというのは、昔、位の高い家の娘が花婿を選ぶとき、自分が刺繍したボールを男性に投げ、頭に当たった人が花婿になるということです。仲勇さんは参加後の感想を語ってくれました。

　「古代にタイムスリップしたような気がした。風景がっとても美しい。好きですね。ここにやってきてよかった」

　江蘇省からの呉素平さんは、去年冬初めて西ディ村を訪れ、ここが好きになりました。今年の春節が終わってから、江蘇省からこの村に来て、旅館を開きました。これについて、呉素平さんは次のように話してくれました。

　「ここは、古い建物が結構保存されている。人々の性格も素直で穏やかだ。居住に理想的な場所だ。観光客がよく来るが、住民は伝統的な生活様式を守っていて、観光地ずれしていない」

　西ディ村にはまさに、桃源郷のような田園風景が広がっています。ここ十数年、道路の整備で便利になり、世界各国からの観光客の数も年々増えています。観光客の様子について、イ県西ディ旅行代理店のガイド、徐寧娟さんは次のように述べました。

　「外国人観光客も多い。お客さんの話では、外国の国宝級の建物は全部石でつくられたもので、1000年の歴史のものもあるが、西ディ村の建物は全部木造で、木材は虫に食われたり火災にとても弱い、ここの木造建物は、数百年ぐらいきちんと保存されている」

　西ディ観光地の入場料のチケットの値段は、80元、日本円でおよそ1200円です。今は交通が非常に便利で、上海から飛行機、列車や観光バスなどの交通機関で黄山市まで来られます。そこから西ディ村までは54キロあり、バスで1時間足らずです。西ディ村には4つ星のホテルが2軒あり、また、ほかに旅館や民宿などもあります。食事のほうは、本場の安徽料理を味わうことができます。また産地限定の土産や工芸品などがあります。たとえば、お茶、彫られた木でできた文鎮があります。値段も手ごろです。

　現在、観光業はこの村の基幹産業となっています。李国玉さんは、数年前、旅館を開きました。今、ここに泊まるお客さんがはいらないほど多いということです。今年の春節、台湾からやってきた妻の嘉寧さんとイギリス人の夫は、李国玉さんの家で、中国の伝統的結婚式を挙げました。この旅館に泊まっていた観光客について、李さんは、次のように話してくれました。

　「うちの旅館に泊まっていたお客さんには、フランス人、アメリカ人、日本人がいる。これらの観光客はほとんど、この雰囲気が好きだろう。たとえば、ここの昔ながらの風景が好き、ここの自然食品が好きで、この町の屋根にしろ、瓦にしろ、みんな長い歴史があり、いろいろな物語がある。都会に住んでいる観光客が昔の田園生活に憧れているからだ」

　中国古代の偉大な王朝の建築を見たいならば、北京の紫禁城で見られます。しかし、　　庶民が築いた歴史ある建築物を見たいならば、安徽省のイ県西ディ村にいけば楽しむことができます。（担当：任春生）