エレンホトは中国内蒙古自治区の西北部にあり、中国の国境がモンゴルと接するところの一つです。ここは中国の北部のドアとも呼ばれています。エレンホトは恐竜の墓地、恐竜のふるさの別名があります。

　エレンホトはアジアで恐竜の化石が初めて発掘された地域とも言われています。ここは、恐竜などの脊椎動物の化石がたくさん埋蔵、古生物学者によって恐竜の墓地と呼ばれています。特に、恐竜の化石の種類がたくさんあり、ユニークな地理的条件でもあるため、エレンホトでは、恐竜地質公園が作られました。

　エレンホト恐竜地質公園は、9月初めにオープンして、一般の観光客が入れます。この地質公園は、エレンホトの北部から9キロ離れたエレンノルにあり、この公園に入ると、まず骨格の大きな恐竜の複製と化石は人々の注目を引きます。

　エレンホト恐竜地質公園にはこれまでに4千万元（６億円）が投資されています。つくられた施設には恐竜科学知識普及館、恐竜化石展示館、鉱物展示館などがあります。

　この恐竜地質公園の全体的な計画について、エレンホト市国道資源局の張瑞新局長は、次のように述べています。

　「今この施設の西エリアしか完成していませんが、西エリアの面積は、2万8千平方メートルで、投資額は1億5千5百万元（２２億5千万円）です。この施設がすべて完成したら、ここは世界最大の古生物博物館となる」

　この恐竜地質公園での発掘の中で興味深い発見がありました。張瑞新局長は、卵を盗もうとしていた恐竜の姿がそのまま発見されたいきさつを紹介してくれました。

　「世界で初めて恐竜の卵がここで発見されました。また、卵を盗もうとしている恐竜もここで発掘された。恐竜の卵が発見されたとき、一頭の恐竜の骨が卵に上にありました。当時は、この恐竜は亀の卵を食べていたかと思いましたが、専門家の研究によって、卵には恐竜の胚胎があると分かり、初めて恐竜が哺乳動物ではなく、卵生の動物だということがわかったのだ」

　卵を盗む恐竜の発見は、2007年アメリカの雑誌「タイムズ」によって、世界科学発見ベスト10のひとつだと認定されました。そしてその化石は、今年の世界古生物大会で世界の有名な化石のベスト8の一つに認定されました。

　エレンホト恐竜地質公園は古生物の科学知識を普及させることを主な役割としています。ここでは、これまでの旧い展示の形と違って、音、光、電気などの新しい技術による「体験式科学知識の普及」を試みています。近い将来、観光客は、考古学者が恐竜の化石などを発掘するプロセスを見ることができます。こういう体験的な見学に興味を持った観光客がたくさん来るでしょう。これについて、張局長は、次のように語りました。

　「ここで、専門家による5つの研究室を設置した。専門家は、学生を連れてきて研究室で研究活動を行うことができます。と同時に、観光客は、実際に研究活動を行う学者の姿も見られます。ここの研究室を利用している機関にはアメリカ自然博物館、日本の福井県と茨城県、モンゴル科学院などがあります」

　恐竜公園では、先進的な技術と科学知識が結びついて、見学と体験が一体化されています。このやり方は観光客の中で人気を呼んでいます。

　林宗辰さんは、山西省からやってきた大学3年生です。この博物館で考古学者が現場で発掘する姿を見ました。見学した感想を次のように語ってくれました。

　「初めて本物の恐竜の化石を見ました。面白かった。恐竜の化石は非常に貴重で、ほかのところでは、本物ではなくて、複製品を展示しているだけです。本物を見られてとてもうれしかった」

　国外の研究機関との協力が多くなるにしたがって、恐竜地質公園は世界でも知られるようになりました。張瑞新局長によりますと、アジアの観光客のほか、西洋の観光客も年々増えてきています。イギリスの観光客、アイシリさんは、ここを見学した感想を語ってくれました。

　「ここにきてよかった。ここの大きな草原を見て、恐竜がここでどんな生活を送っていたかを想像できる。私のふるさとにも恐竜博物館があるが、ハイテクのゲーム機が並べられており、遊び感覚が強く、権威が感じられない。しかしここにきて恐竜化石の本物を見て、その権威が感じられた」

　クロアチアからやってきた観光客のイリアさんも、次のように話してくれています。

　「情熱を持っている考古学者は、恐竜を発掘し、恐竜の歴史を世界の人々に紹介している。このことが私に強い印象を与えた。恐竜は骨格は大きいが、性格は穏やかそうで、映画の中で描かれた獰猛な姿とは違う。これからクロアチアに戻って、この恐竜地質公園を周りの人々に紹介する」

　皆さん、時間があれば、9月、10月、草原のいい観光季節、ぜひ内蒙古自治区のエレンホトの恐竜地質公園を訪ねてください。（担当：任春生）