中国の最西端に位置する新疆ウイグル自治区は民族風情と独特な自然環境に恵まれ、多くの観光資源を有しています。その中で最北端のカナスは90年代後期、国家級自然保護区に指定され、風景の美しさから広く内外に知られるようになりました。
カナス自然保護区は面積が2200平方キロ、新疆で最も特徴のある景観に恵まれています。モンゴル、ロシア、カザフスタンと国境を接し、中国で唯一、ヨーロッパ・シベリア動植物の分布区となっており、ここにしか生息しない国家級重点保護対象となった野生動物も27種を数えます。
カナス地域には、世界で最もきれいな湖と呼ばれるカナス湖があります。この湖は新疆北部アルタイ山の中部森林地帯にあり、美しく神秘のベールに包まれた天然湖です。およそ20万年前氷河によって形成され、海抜は1374メートル、面積37.7キロメートル、湖を囲むようにして重なり合う山並みの風景はとても美しいものです。
「カナス」はモンゴル語で「神秘的で美しい」という意味を持ち、その名に違わず神秘的で美しく、季節や天候によって湖面の色が変わることで変色湖の異名を持ちます。氷河に含まれる鉱物により、澄んだ紺碧、晴れた日はエメラルドグリーン、曇った日は灰緑色、暑い日には乳白色などとさまざまに色を変化させます。
地元の人たちは「四季すべてが美しい。春には花が咲き乱れ、夏には湖上の波が立ち、秋には木々が色づいて、冬には銀の衣装をまとう」と、この地を讃えています。
寒い山間地帯にあるため、ここカナスの夏は空気がきれいで、湿気もちょうどよく、理想的な避暑地です。一方、冬は長くて最低気温がマイナス40度になります。毎年10月の下旬から翌年の3月まで、道路は雪で覆われ、観光客がほとんど来ませんでした。しかし、今年の冬は例年と違って、初めての観光客が訪れました。
1月、カナスの雪と氷の風景の撮影会が行われました。観光客と写真家500人は、車100台でカナスにやってきました。
写真家の周磊さんは、かつて冬の時期、馬橇でカナスに入ったことがありますが、今回は初めて車で来ることが出来ました。これまでとの違いについて、周磊さんは次のように話しました。
「カナスに入って2日間かかりました。夜の気温がマイナス40度に下がり、一緒にいた友達の温度計付の腕時計も壊れました。途中、指先が一時的に感覚がなくなってしまうほど寒かった。とてもつらかったです。今回はこれまでと随分違って、数時間で上ってくることが出来ました」
カナスの雪と氷の風景の撮影イベントの開幕式では、競馬、アーチェリー、相撲などの民族の特色を備えたイベントが開催されました。気温はマイナス30度ですが、全国各地からやってきた写真家と観光客は、カメラやビデオカメラで素晴らしいシーンを収めました。
新疆北端のアルタイ地域は、スキーの発祥地だと言われています。現地の岩に描かれた絵画には、1万年前、アルタイ地域で生活している遊牧民が、スノーボードをしている姿があります。このスノーボードの板は、長さ180センチの松の木で、地面と接触するところは馬の皮で包まれ、革紐で両足に括りつけます。このようなスノーボードを履いて、地形の複雑な山間地帯でも自由自在に獲物を追いかけることができました。
この日、現地住民30人がこの古代のスノーボードを履いて、動物の皮で作られた橇を引いて、山間地帯を走るデモンストレーションを行いました。ウルムチの観光客・呉鳳霞さんは、次のように感想を語りました。
「一つの民族が、伝統的な文化を古代から今日まで受け継いできたことに驚きました。私もこのスノーボードを履いて滑ってみたいですね」
吉林省からの観光客の鄭立波さんは、次のように話しました。
「はじめて見ました。これは昔の光景を復元したものですね。このイベントで、古代の人々の生活様式の一部が見られて、うれしいです」
このような雪と氷の風景の撮影イベントの開催をきっかけに、カナスの冬の自然風景、歴史、民俗などは、新疆そして全国で知られるようになっています。このイベントの意義について、北京の観光客の張志立さんは、次のように話しました。
「現地の文化遺産は保存されるべきです。これは、貴重な観光資源で、私たちはこれらの伝統を守る責任があります」
中国スキー協会の王副会長は、カナス雪と氷の風景の撮影イベントについて、次のように評価しています。
「カナスの民俗は、アルタイ地域とカナスだけのものではなく、中国のものでもあります。今後、地元の観光部門は冬季の観光業を盛んにしてほしい。また、中国各地の人々、世界の人々が、ここに来てほしいです」(担当:任春生)
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