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北京の氷の穴蔵レストランを訪れる

2009-02-01 17:30:01     cri    

 北京の古い横丁は、胡同と呼ばれ、その歴史は非常に長く、その独特な魅力は世界各国の人々を引き付けています。

 北京第二環状線の中、清王朝の下町、鼓楼と後海あたりに、古い横丁の胡同がいっぱいあります。観光客は、たいてい人力車に乗って、この辺の胡同を巡ります。故宮博物館の北側に、恭倹胡同があります。この胡同の奥に進んでいくと、真っ赤な木造の立派なドアがついた四合院に辿りつきます。ドアの上に掲げられている灯篭に「皇家氷穴倉」と書いてあります。この四合院という建物の中には、面積が450平方メートルの半地下の氷用の穴蔵があります。この穴蔵は、清代の末期に作られたもので、かつて、皇族専用の氷をいれる倉庫で、冬できた天然の氷を保存し、秋には果物や野菜などを入れます。これまで100年以上の歴史があるといわれています。

 現在、ここはレストランになっていて、オーナーの王麗輝さんは、お客さんに聞かれると、必ずこの皇族専用の氷の穴倉の歴史を紹介します。今日も、王さんがその歴史を話してくれました。

 「この穴蔵の名前は、徳順氷穴倉と言います。冬の一番寒い時期の気温がマイナス10数度の時、この穴蔵は6度ぐらいです。夏の一番暑い時期の気温が37、38度の時、ここでは18度か20度ぐらいです。この穴蔵の壁の厚さは1.4メートルで、保冷性が非常にいい。壁の真ん中に保冷材が充填されているため、穴蔵の中の温度は一定しています」

 近代的な技術がなかったとき、中国皇室の貴族たちは、このような穴蔵に氷を蓄えていました。保冷性が優れているため、ここに入れられた氷は冬から次の年の夏まで保存できます。夏、皇室が先祖を祭ったりする大きなイベントや日常生活の中で室内の温度を下げるとき、ここで保存されている氷が使われていました。

 当時の資料によれば、清代、中国皇室の氷製造と貯蔵の技術は世界で最も優れていました。ある説では、アイスクリームは、中国の皇室で生まれたものだそうです。この逸話について、王さんは次のように語りました。

 「元の時代、イタリア人のマルコ・ポーロは当時の都、今の北京にやってきました。元のフビライ皇帝に謁見した時はちょうど夏の一番暑い時期でした。その日は、マルコ・ポーロは正装していたため、大きな汗の粒が顔から流れていました。謁見が終わり、マルコ・ポーロは皇帝から飲み物を頂き、その冷えた飲み物を一気に飲み干したといいます。とても美味しく、その爽快さが肺や胃袋に沁みました。彼はその場で中国宮廷の人にこの飲料は何かと聞きました。実はこれは、氷を入れた馬のミルクでした。マルコ・ポーロは、この飲み物の作り方をすべて書物に記したといいます」

 氷を入れた馬のミルクは、アイスクリームの祖先ではないかと考えられています。元の時代、こんなに美味しいものができたのは、氷の穴蔵があったからです。今、王さん夫婦は、廃墟となった氷の穴蔵を作り直して、レストランを建てました。なぜここでレストランを経営することにしたのか、王さんは次のように話してくれました。

 「今北京で、昔ながらの氷の穴蔵が見られるところはここしかありません。ここでは、氷文化に触れることができます。また、この文化の背景にいろいろな歴史や物語があります。このレストランを見てもらうことが第一で、逆に料理を食べてもらうのは第二だと思います」

 このレストランの食卓と椅子は、昔、氷を置いた板で作られたもので、穴蔵の壁には、清代、氷を運んだり、氷を蓄える様子を撮った写真が飾られています。ここで食事をすると、歴史の道を歩んでいる感じがします。このレストランの料理は、全部、昔は貴族しか食べられなかったものです。料理の作り方も資料が残っていないため、王さんはその料理を食べた人から伝え聞いたものを整理して、研究と開発を重ねて、今の料理を創作しました。そのほか、あるお客さんは、自分の家にあるレシピを王さんに教えてくれたそうです。これについて、王さんの奥さんは、次のように述べました。

 「ここで食事をしてくれた何人かの常連客と友達になりました。彼らは、お爺さんあるいはお父さんが料理人をやったことがあるので、その料理の作り方を教えてくれました。私は主人やレストランの料理長と一緒に研究して、今の料理を提供しています」

 この氷の穴蔵レストランの看板料理は、「羊腿肉の焼肉」です。これは、秘密の調味料につけておいた羊の腿肉を炭火の上で焼き上げた料理です。この焼肉は紫色で、とても柔らかくて香りもいいのです。これを食べる時、梅で作ったジュースあるいは、ワインを飲むと最高ですよ。

 北京の胡同に生まれ育った孫立さんは、このレストランの常連客です。このレストランで北京の昔の料理を食べると、子供の頃の記憶が蘇ると言います。このレストランを、孫さんはこんな風に評価しています。

 「はじめてこの店に入った時、この氷の穴蔵を見て驚きました。中国人の知恵はすごいと思います。中国人が清代に、天然の冷蔵庫を持っていたことを誇りに思います」

 このレストランの女将によりますと、この店は、レストランとして利用するだけでなく、北京の風習や民俗が好きな人々が不定期的で、講座や学習会を開いて、北京の昔や今の状況などを紹介します。また、自分で撮った写真などをこのレストランの壁に飾っています。より多くの人に北京のことを知ってもらうためだそうです。(担当:任春生)

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