2012年もいよいよ終わりに近づいてきました。この一年間を振り返ってみると、一番印象深かったことは何ですか。チャイナライフ、今週と来週、2週間連続して2012年、この一年の、中国人の暮らしに関するホットな話題を振り返りながら、中国の世相を語る「チャイナライフキーワード2012」を発表します!
【第6位】割勘生活
今年、テレビドラマ「AA制生活」(割勘生活)は80後(80年代生まれ)の若者の結婚生活の一面を反映し、ホットな話題となりました。割勘生活とは、若い夫婦の間で流行っているライフスタイルです。つまり、結婚しても生活費は夫婦それぞれが半分を負担することです。
物質的な格差は夫婦間の精神的な安定に影響を与えます。中国では、8割以上の家庭は共稼ぎの家族だそうです。都市生活のプレッシャーが大きいので、結婚しても、夫一人で家庭を負担することはとてもつらくて、無理です。家庭の経済面から考えると、共稼ぎはやむをえない選択だと思います。それに、女性は結婚しても、精神的な独立と経済面の独立を維持することは重要だといます。家庭と仕事の両立、ましてや育児など、女性は社会で男性より多くのプレッシャーに直面していると思います。可能であれば、家庭の経済的な負担など、旦那の方がすすんで負担してほしいんですね。お金も割り勘なら家事労働も割り勘にしてほしいです。
割勘の夫婦生活はあくまでも一つの生活モデルに過ぎないんです。重要なのは夫婦間のコミュニケーションでしょう。お互いに信頼し、理解し合い、寛容になれば、円満な夫婦生活が出来ると思います。夫婦であれば、お金や物質的なことに拘り過ぎないように、もっと精神的な共通点を大切にして、それを育てることが重要だと思います。夫婦生活はそもそも頼ったり、頼られたりして互いの存在意義を確認するものなんじゃないでしょうか。
【第7位】男子危機
中国の名門大学、中国人民大学がこのほど今年の学生募集の点数を発表しました。ロシア語、ドイツ語、フランス語と日本語の四学科は初めて、男女別の応募点数を基準にしたのです。男子学生向けの点数はいずれも女子学生より10点以上低いということで、大きな議論を巻き起こしたのです。学校側の説明では、これは「男尊女卑」による差別ではなく、男子学生の成績は女子より、余りにも悪いから、応募学生の男女比例を保つため、しようがなく男子向けの応募点数を引き下げたのです。そうでなければ、これらの学部に、男子生徒がいなくなるだろうということなんです。
また、全人代代表の統計によりますと、いま、中国に2億人の小、中学生がいる。現在の教育評価基準によりますと、うち5000万人は成績が悪い生徒だ(期末試験での平均点数が不合格、60点未満という)。また、そのうち80%は男子生徒だという。成績だけでなく、男性生徒の性格も弱くなっています。競争精神に乏しいし、進取の気性が足りない。ちょっとしたことで諦めたり弱音を吐いたりするし、短気で辛抱弱く、親に頼る癖があるようです。女性と争うのを遠慮していため、弱く見えるのは一種の優しさだという一説もありますが、子供の教育では、女の子にしても、男の子にしても、過保護を避けてほしいです。
【第8位】帰省恐怖族
帰省を恐れる人たちのことを指します。中国では、旧正月の春節は一年で最も重要な祝日で、家族と一緒に過ごすのが伝統になっています。そのため、毎年の春節を控え、都市で働いている人々は連休を利用して里帰りします。しかし、中国民政省が今年、北京、上海、広州など6都市の市民にアンケート調査を行った結果、7割以上の回答者は「春節の帰省に悩まされており、連休症候群にかかった」と答えました。帰省を恐れる人たちがどんどん拡大していることが分かります。アンケート調査の結果では、農村や地方で一部の若者は一家の期待を背負って、都市部の大学に進学しました。しかし就職難によって、ようやく大学を卒業しても、理想の職場につけず、都市での生活にもう精一杯で、実家に仕送りなんかは、なかなか出来ないようです。春節の里帰り、家族や親友の期待に応えられない自分がとても情けなく、帰省を恐れているということです。
経済成長の続く中国ですけど、現実の生活の苦しさが、帰省恐怖症につながっているということです。世の中に、家に帰りたくない人はいないかもしれませんが。いまの生活状況に満足しておらず、面子がたたないので実家に戻りたくないとか、切り詰めて貯金しても帰省の往復切符代や、春節の交際費に消えてしまうのは確かに悲しいですね。
【第9位】調和の取れた家庭
中国では、「調和の取れた○○」は聞き慣れたでしょう。今年初め頃、北京市婦人連合会と北京市社会科学院はこのほど「北京市調和の取れた家族」の評価基準を定めました。メイン基準は6つあります。「低炭素生活」、「文化志向」、「ボランティア精神」、「権益維持」、「思いやりがある」、「活気が溢れる」です。これらの基準を聞くだけでは、どうもピンと来ないところがありますね。この6つの基準が、いわば理想の家族のキーワードということでしょうか。「思いやり」みたいに古くからのキーワードもあるし、低炭素生活のように最近のキーワードもあります。
具体的な判断基準もありますよ。例えば、家族がいつもインターネットを利用して情報を収集している。家庭内にある本や書籍は300冊以上で、少なくとも1部の新聞を定期的にとっていること。家庭内で少なくともボランティアをしている人が1人いること。常に旅行したり一緒に食事したりすること。資源の節約に工夫し、毎月1人当たりの水使用量は8トンを超えないこと。さらに、公共交通機関をよく利用し、マイカーの使用を控えること。エコバッグを使い、レジ袋の使用を避けること。積極的に各種の寄付活動に参加すること。法律意識や防犯意識が高く、盗難や強盗、誘拐事件にまきこまれていないことなどです。身近なことから、大きなことまでいろんな分野にわたっているんですね。
【第10位】PM2.5
今年、ある環境データがホットな話題となり、北京市民の注目を集めました。PM2.5のことです。PM2.5は大気中に浮遊する微小粒子状の物質で、直径が2.5マイクロメートル以下のものです。PM10などの大きな粒子よりも細かいPM2.5は気管にまで入りやすく、肺胞など気道よりもっと奥まで入り込むため、人体への影響が大きいと考えられています。ぜんそくや気管支炎を引き起こす要因ともされています。また。ディーゼル車の排ガスや工場のばい煙など、人為的な要因によって発生するケースが多いと言われています。
実は、この話題は去年12月に遡ります。去年12月4日、北京のアメリカ大使館はその日の午後7時に観測したPM2.5の結果を発表しました。すると、1立方メートルの大気にあるPM2.5の濃度はなんと522という数値で、アメリカ環境保護庁(EPA)が大気の汚染状態を調査する時に使う大気質指標(AQI)の測定最高値500を超える結果が出たんです。これには多くの人々がショックを受けました。アメリカが定めた大気質指標(AQI)では、PM2.5の濃度は301―500までの数値に達すると、『危険レベル』とされます。つまり、最も深刻な汚染状態にあるということですから。一方、この日の北京市環境保護局の発表によりますと、4日午後8時の大気汚染指数は150-170で、大気質は3級で、軽度の汚染とされ、主要汚染物は浮遊微小粒子だったということです。北京市環境保護局の発表したデータのうち、150-170の数値はPM2.5ではなく、PM10の濃度ですね。つまり、直径が10マイクロメートル以下の浮遊微小粒子のことです。
これをきっかけに、PM2.5はますます多くの北京市民ないし中国人に知られ、PM2.5のモニタリングの結果を発表するようにと市民の声が高まったんです。その結果、PM2.5はようやく新しく修正された中国の『環境大気質の基準』に盛り込まれました。さらに、いま、北京では、毎日PM2.5の平均濃度や、時間ごとの濃度変化が発表されるようになりました。
では、TOP5にランクインしたのはどんなキーワードでしょうか。来週引続きご紹介します。ぜひお楽しみください!(12月20日オンエア「イキイキ中国」より)
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