中国では、国家公務員試験は年に一度行われます。今年は先月の24日が参加申込みの締め切りでした。応募者は150万人に達し、そのうち、138万3千人の受験資格が審査を経て確認されました。しかし、今年、国家公務員の採用人数は僅か2万人近くで、競争率は65.6倍になります。一部の部署では1万対1の競争率に達したそうです。
中国の大手検索エンジン「百度」に「公務員」というキーワードを入力すると、全国各地で様々な公務員試験の受験トレーニングやセミナー、試験問題の情報など1億以上の検索結果が出ます。中国は、世界的にも有名な科挙制度と言う公務員試験があった国ですから、国家公務員に対する関心と言うのは、高いのかもしれませんが、それにしてもネットの検索結果が1億以上というのは国家公務員試験に対する関心の深さと、広さ、広がりを示しているのでしょうね。
一部の学生は大学三年生から公務員試験の受験を始めました。彼らは例年の試験問題を分析して、高い点数を取れるコツやノウハウなどを研究しています。極端な例ですが、一部の学生は公務員試験受験のために、大学三年や四年生の授業をサボったりしています。その理由について、「大学に入る目的はいい仕事を見つけるためで、公務員試験に合格すれば、大学の単位を少し諦めてもいい」ということです。
日本でも、就職活動はどんどん早くなっていて、去年経団連が就職活動の解禁を3年生の12月以降にすると発表したのですが、実質的には歯止めがかからない状態。背景には就職難もあり、少しでも多くの企業に、早くからアタックしようと言う学生の気持ちもある。就職難を背景に、公務員試験も人気が高まっていると言われているが、レベルの高い、国家公務員試験の倍率は、日本ではあまり大きな変化が無く、どちらかと言うと下がる傾向。国家公務員試験は、難しいし、大変だと敬遠される傾向があるようだ。中国で、今国家公務員試験に人気があるのはなぜ?
<国家公務員の魅力>
① 賃金が高くないけど、いろんな福祉待遇が優れている。(法定の有給休暇が保障できるし、医療や養老が保障できる)これは、日本も同じですね。 在職中もそうですが、定年後の年金とか老後の保障の安心感も、大きな魅力になっているような気がする。
② 安定感がある。一度国家機関に入って国家公務員になれば、犯罪を犯さない限り、首になることはほとんどない。一生の仕事が保障できる。これに対し、外資系企業の競争は激しいし、世界経済が不況の中、リストラになるリスクが増している。日本でも、これまでは、大企業に就職すれば、定年まで安心だみたいな感覚があったが、今では大企業でも人員整理や、早期退職を促されるなど、先行きは不透明。公務員の安定感と言うのが、魅力を増しているのは確か。
③ 人々に尊敬され、社会的地位が高く、尊厳や面子のある職業とされる。一家の誇りになる。
④ 人生の舞台が広くなる。中国の発展に伴い、中国政府と世界各国との交流も盛んになっている。国家公務員は中国の代表として、グローバルな舞台で活躍する可能性がある。
今、言った世界の舞台で活躍できるという動機はなかなか、夢があって若者らしいが、現実では安定志向の結果、国家公務員の人気が高まっているというほうが圧倒的に多そうですね。イメージ的には、若者たちは自分の夢を追い、、安定的な暮らしをあまり好んでいないみたいですね。しかし、いまの若者たちは大学を卒業する前に、すでに安定感のある人生を求めようとしています。すごく理性的で、現実主義になっていますね。これはある意味では、しっかりした考え方を持ち、大人らしくなったと言われますが、一方では、冒険心や好奇心が失いつつあるような気もします。何といっても、現実と夢、そのバランスの維持はそもそも難しいことですね。
<日本の国家公務員試験>
日本では、公務員は若者にとって、魅力的な仕事ですか。いま、公務員になりたがっている若者が多いですか。
2008年の『リーマンショック』の後、公務員の人気は増加傾向のよう。ある就職調査会社の就職活動をしている学生へのアンケートでは、『公務員になりたいと思ったことがある』と答えた学生は52%にもなった。理由では『長く努められる』が43%『リストラされない』が38%。この数字を見ると何よりも、安定志向がその背景にありそう。公務員の中でも『市役所、区役所職員』と言うのが一番人気。あまり高望みをせず、そこそこのところでと言う意識が、ここからも見て取れる。
日本では、公務員になりたければ、試験に参加する必要がありますか。
国家公務員試験の場合一次試験から始まって、四次までの試験がある。問題の難しさもさることながら、4回の試験をくぐりぬけていくというのは、体力的にも、精神的にも、相当大変だと思う。
地方公務員試験でも、一次、二次試験があり、公務員になるための受験学校に通う人も多い。
日本では、公務員は何か特別な魅力や優遇がありますか。
中国と似た要素が多いと思う。給料自体は民間の大手企業よりも、低いところが多いが、景気の波で、給与水準が下がることが、民間企業より少ないことや、週休2日制、育児休暇、産前産後休暇など、福利厚生面での充実が大きな魅力といえる。午後、5時には、しっかり帰れる部署も多く残業のストレスが少ないというのも、魅力の一つ。
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