最近、中国の都市部では、「帰宅沈黙症候群」が現れた。いつも沈黙するわけではなく、退勤後、家に帰ってから、脱力感を覚え、無口で、家族に口をきかない一族のことを指す。職場で上司や同僚、クライアントとユーモアに喋るのに対し、帰宅してから無口になる。職場と自宅ではまったく別人に見える。これは職場での新しい病気と言われ、みんなの注目を集めている。皆さんにはそんな症状があるのか。このような人をどう見るのか。仕事には多かれ少なかれ、ストレスが付きまとうので、自分のこととして理解できるね。
「中国青年報」社会調査センターのアンケート調査によると、2750人の調査対象のうち、83.1%が程度はさまざまだが「帰宅沈黙症」にかかったという。そのうち、34.7%は深刻な症例で、、48.4%は軽い症状だった。また、これら「帰宅沈黙症候群」のうち、1980年代生まれの人、所謂「80後」は5割(50.1%)で、1970年代生まれの人は3割(30.9%);大都市に住んでいる人は45.5%(半分近く)、中小都市に住んでいる人は28.9%いるという。
調査結果から見ると、大都市に暮らしている若年層に集中しているようだ。大都市の生活コストが高いし、生活プレッシャーも大きい。また、80年代生まれの若者なら、ちょうど30代ぐらいで、働き盛りなのに対し、結婚や育児、親孝行に迫られて、プレッシャーがいっそう大きいようだ。
帰宅沈黙症候群になった理由についてのアンケート調査では、60%の回答者は「仕事で疲れきった」という。帰宅してからリラックスして、もう何も喋りたくない。話す意欲がない。53%(半分近く)は職場でのコミュニケーションは仕事の一つだと答えた。上司やクライアント、同僚の機嫌を取るために、偽笑いしてユーモアに喋ったりすることは、職場の人間関係を円滑にするためでしかない。家に帰ってから、このような仮面をかぶって、家族の機嫌を取る気にはならないし、必要もないから。帰宅後は無口になるという。さらに、41%(4割)は知らない人や親しくない人とのコミュニケーションが得意で、身内や家族とのコミュニケーションが苦手だという。余りにも親しいから、何を話せばいいか、かえって分からなくなる。職場の悩みなどを喋ったら、かえって家族の心配を誘うので、「言わぬは花」。
職場の上司や同僚、クライアント、または知らない人の前では、いろいろと気を使うのに対して、家族や身内の前ではかえってリラックスしすぎて、相手の存在を当たり前に思ってしまう傾向にある。私自身もよく反省しなきゃ。また、家族が心配すると思って、愚痴も言わずにいると、ますます無口になることもあるだろう。
では、このような帰宅沈黙症候群は深刻な心理的病なのか。北京師範大学心理学学部の王芳教授の話では、このような「帰宅沈黙症候群」はストレスや圧力によるうつ病の前期にあるということだ。油断すれば、深刻なコミュニケーション障害症などの心理的疾病になる恐れがあるという。また、一般的には、教師や医者、警察、IT従業員がかかる確率が高い。職場と家庭での気分転換がうまく出来ないため、このような帰宅沈黙症にかかるという。
大都市では、人々が挨拶する時、「とっても忙しい」「疲れきった」などは口癖のようになっている。都会での生活コストや生活プレッシャーが余りにも大きいから、仕事や職場での人間関係に精一杯で、家族や身内との交流に油断しちゃうような人が大勢いるだろう。
では、帰宅沈黙症の予防について、何かいい方法があるのだろうか。
① 家族:関心を寄せること。でも、無理やりに強制的にコミュニケーションを求めるより、適当な時期に見合わせて家族の交流を進め、その人の考えを聞いてあげることは効果的。
② 職場:職員のメンタルケアを重視すること。より包容的でより開放感のある職場の雰囲気を作り上げること。社内旅行の場合は、職員の家族も招いたほうが専門家の薦めだ。(これについて、日本語部のピックニックはいい手本を見せたね)
③ 個人:A情緒の自己管理は大事。マイナス志向の考えをやめて、プラス志向のいき方に頑張る。B運動すること。仕事で疲れたとしても、適当な運動をすると、ストレスの解消に有利だし、心理的な疲れを払うことも出来る。C飲食習慣を整えること。深夜のタバコや飲酒をやめて、野菜や果物を大量に摂取して、ヘルシーな飲食習慣を養うこと。
そのほか、家族があるのでその立場の経験からいえば、最後に支えてくれるのは家族。だから、常日頃の思いやりとか、ちょっとした会話で、家族関係を大切にすることが大事。
さらに、声を出すことは呼吸を整えるのに良いと思う。声を出して呼吸を整えれば、胸にたまった鬱陶しい気分を追い払うことが出来る。だから、大声で朗読することや、歌うことを薦める。例えば、シャワーを浴びながら好きな唄を歌うこと。きっとストレスの解消に有利だと思う。②また、運動と言えば、わざわざジムに通わなくても、エレベーターの代わりに階段を登ることや、テレビを見ながら簡単な身体体操をやることも考えられる。③趣味を探すこと。例えば、料理教室に通うことや、何かの楽器を習うこと。とにかく、帰宅後の生活を豊富多彩にして、生活の楽しさを見つけること。
何と言っても、冷静に客観的に自分を見つめて、楽しく暮らす工夫がとても大事。それと、重症になりそうなときは職場を変えるとか、専門の病院に行くとか、思い切った手段も考えることが、自分を守ることにつながる。
確かに大都市での生活はいい面も悪い面もある。どのようなライフスタイルを選ぶことはあくまでも個人の自由だけど、自分のために、家族のために、毎日の24時間を有意義に過ごしてほしい。例えば、半分は仕事だとしても、残りの半分はちゃんと有効に過ごすべきだ。毎日も幸せに楽しく過ごすことは、ちょっと贅沢かもしれないが、少なくとも毎日は健康に送ってほしい。(9月20日オンエアイキイキ中国より)
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