今までは、毎年、アメリカから輸入する映画の本数は20本でした。それが、今回の習近平国家副主席の訪米で新たな協議がまとまったそうです。ホワイトハウスの発表によりますと、合意に伴いアメリカ産映画の輸入本数は50%以上の増加が認められたほか、アメリカ映画会社が受け取る興行収入も分配率が引き上げられることが決まったそうです。具体的には毎年14本ずつ増えるということです。これらの映画はIMAXや3Dなどの作品を中心に輸入すること、さらに、アメリカ映画の興行収入の分配比率も13%から25%に引き上げられます。
ハリウッド関係者は「分配率アップにより米国サイドは中国での映画宣伝に本腰を入れるようになる。これにより興行収入もさらに増えるだろう」と話しました。今まで、輸入のルートは全部、ラジオ映画テレビ管理総局経由でしたが、新しい協議では、管理総局を窓口とした輸入だけではなく民間企業を通じた輸入も認可されることになったほか、大作映画だけではなく独立系映画の輸入も認められるということです。
一方で、中国の映画業界は戦々恐々としています。長年政府の手厚い保護を受けてきた中国映画はいわゆる「温室育ちの花」。アメリカ映画との過酷な競争に生き残る力が足りないと想います。専門家は「ここ数年で中国映画は成長したが、粗雑な作品も多い」と指摘しています。
アメリカ映画の輸入拡大は中国映画界にとって悪いことばかりではないと思います。市場競争に参加することで国産映画のレベル向上を促すことができ、中国人にとってはより良い映画を見る機会が増えることになります。北京新影聯影業有限責任公司の高軍副社長は、「輸入大作の割り当て増加は一種の自信と開放の意識を示すものだ。産業の発展にとって弊害より利益が大きい」と話しました。
またアメリカとの合作が増えることで、たがいの文化を相手に紹介しあえるという利点もあります。ある業界関係者によりますと、今後輸入される作品はIMAXや3Dの作品が中心で、技術の発展促進を目標としていることがうかがえると言います。また別の業界関係者によると、大作を輸入すると同時に、中国とアメリカによる共同制作も行われるとみられます。アメリカが中国大陸に映画の共同制作拠点を開設すれば、中国側は協力を通じて大きな利益を得ることになるということです。
アメリカの映画制作大手、ドリームワークスは、中国文化産業投資ファンドなどと「上海東方ドリームワークス」を設立することで合意しました。初期投資額は3億3千万ドルに上ります。来年公開が予定されているブルース・ウィリス主演のSF映画「LOOPER」には、中国企業・北京DMG公司が出資しています。出資条件には「映画に登場する未来のシーンをフランスから中国へ変更する」「中国女優を起用する」ことを挙げたと言います。
中国の映画市場はここ数年ものすごい勢いで伸びています。2010年の映画興行収入は前年比64%増の16.2億ドル(約1224億円)、去年2011年は21億ドル(1684億円)に達しました。5年以内に中国は日本を上まわり、アメリカに次ぐ世界第2の映画市場にまで成長すると見られています。ですから、ハリウッドの映画業界は中国を最大の潜在市場と見ています。
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