10月の中国は至る所に新婚ムードが漂っています。なぜかというと10月1日から7日まで、国慶節、つまり建国記念日の七連休があるからなんです。天高く馬肥ゆるこの季節、披露宴を行う新婚さんは大勢います。市内の公園や郊外の風光明媚な場所へ行くと、新婚写真を撮っているカップルの姿も多く見かけます。
中国では、新婚写真は様々な種類がありますよ。写真屋で撮るものもありますし、屋外で撮るものもあります。西洋風の白いウェディングドレスのほか、中国の伝統的なチャイナドレス、若しくは昔の軍服など、いろんな衣装がありますし、いろんなジャンルや場面設定があります。中国人の披露宴に出席したとき、会場の入口で、必ずと言ってもいいほど新婚さんお二人の新婚写真が飾られていますね。しかも、大きく引き伸ばされポスターのようになっています。綺麗なお化粧と衣装、ほとんどスターかと思うぐらい豪華ですよ。
実は中国では、新婚写真と言えば、二つあるんです。一つは入籍手続きをする際に必要な、結婚証明書に貼るための証明写真。赤地に二人の胸から上の姿が映ったもので、とても正式な感じです。もう一つは先ほど紹介した披露宴の会場を飾るための新婚写真で、数百枚以上も撮った中から数十枚選びます。何着も衣装を着替え、いろんなポーズを決めて撮影します。室内のスタジオで撮ったものと、屋外で撮ったものからなります。このような新婚写真は新婚の記念アルバムを作るほか、披露宴の会場を飾るポスターや、披露宴の招待状などに使われるんです。
実は、中国で新婚写真の歴史は清の末期まで遡ります。1839年、フランス人の画家、ダゲールさんがカメラを発明しました。それからしばらくすると、香港や広州に写真屋が現れました。有名な収集家の馮忠宝さんの収集した新婚写真によると、1910年、新婚写真はすでに中国人の披露宴に使われていたということです。新婚写真が中国で現れたのも西洋文化による影響ということです。そして、1930年代になると、中国の新婚写真は披露宴で親友と一緒に撮った集合写真から、結婚する二人だけの新婚記念写真へと変化してきました。そして、新中国が成立してから、このようなトレンドが拡大し、披露宴の会場ではなく、わざわざ写真屋へ行って新婚写真を撮るカップルがどんどん現れ始めたというわけです。
当時の中国でわざわざ写真屋へ行って新婚写真を撮る人は、きっとおしゃれな人だったんでしょう。今年85歳の女性、皮素蓉さんもその一人です。皮さんの話によりますと、当時、彼女と旦那さんの家庭条件はそれほど恵まれていなかったものの、写真屋へわざわざ行って、人生で大事な一瞬を写真で記録したということです。皮さんのコメントです。
「私は1952年に結婚しました。親戚を呼んで簡単な食事をしましたが、やっぱり何か記念に残るものがほしくて、主人と相談して写真屋へ行って新婚写真を撮りました。衣装は写真屋のもので、主人は背広、私は白いウェディングドレスでした。そして、写真屋さんにお化粧もしてもらいましたよ。白黒の写真一枚だけですけど、とても貴重なものなので、人生の大事な一瞬を記録できてよかったです」
女性なら、誰でも自分の花嫁姿を記録したいと思いますよ。はかない青春っていうが、一番きれいな瞬間というか。年をとれば撮るほど、若い頃の写真を見れば、感慨深くなるでしょう。きっと。でも、いまの新婚写真は数百枚以上も撮影するのに比べ、当時は1枚だけ、しかも白黒、やっぱり素朴ですね。そのとき、写真屋で写真を撮ることは、非常に贅沢なことだったんです。1950年代の中国、写真屋以外、カメラを持っている人がいなかったかもしれません。
そして、1960年代から70年代には背広の代わりに、人民服が新婚写真に登場しました。花嫁は白とか、緑、青、灰色のシャツを着て、とても素朴な感じでした。当時の中国、軍服は一番おしゃれな新婚さんの衣装だったそうです。その時の新婚写真はまだ白黒のものでした。しかも、一部には毛沢東主席の語録が印刷されたものもあるんです。(つづく 「イキイキ中国」より)
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