中国の国会にあたる全国人民代表大会の常務委員会は、この6月、2010年の「三公経費」(海外出張費、公用車経費、接待費という三種類の経費の略)の使用状況を審査し、98ある政府官庁と中央政府直属の国家機関に、6月いっぱいまでに、省庁別の2010年度の使用実情と2011年度の予算案を公表するよう求めています。
過去になかったこの動きは世論から高く評価されています。相次いで公表された省庁別の「三公経費」使用状況の中、一番「詳細だ」と好評だったのは、日本の会計検査院に相当する中国審計署の発表でした。総額だけではなく、海外出張の場合、延べ人数と一人当たりの経費、また、公用車の管理や接待費の具体的な使用状況なども細かく公表されています。
ところで、「三公経費」の発表をめぐり、大雑把な数字しか公表していない省庁もあり、また7月中旬になっても、まだ3分の2の省庁は遅々として公表していないことが問題視されています。
これに対し、世論は厳しい目を光らせています。新聞、インターネット、テレビなど、メディアのほうは毎日のように報道しており、市民メディアとしてのミニブログでも、「一番遅い発表」、「一番お粗末な発表」などと題したランキングをリアルタイムで公表しています。
こうした流れを真っ先に作り出したのは、中国共産党の機関紙である『人民日報』の公式サイト、人民網です。先週、人民網は、各省庁の三公経費の公開時間のランキングを正式に発表し、それを受け、数多くのポータルサイトもまねして企画を始めました。
人民網の企画と呼応する形で、『光明日報』も公式サイトで「公開内容の満足度ランキングの作成を」と呼びかけています。
その提案の中には、公開時間、公開の程度、社会の評価などからなる採点基準まで細かく列挙した上、「三公経費の公開は、大勢の赴くところで、歴史の必然でもある。もし、中央省庁、地方政府のいずれも国務院の要求に基づいて、その決まりごとをしっかり守ることができれば、民意を尊重し、国民の知る権利と監督の権利を確保する、いっそう人民から擁護される政府になるに違いない」と締めくくっていました。
ちなみに、中国財政省の公表したデータによりますと、2010年度の「三公経費」は、総額94億7千万元(日本円約1200億円)で、うちわけは、公用車の購入と使用コスト61億6900万元、海外出張費17億7300万元、接待費15億2000万元となっています。(Yan)
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