北京にも様々な表情があります。今回ご紹介するのは、北京の北東にある望京という地区です。北京首都国際空港から15分ほどのエリアで、北京の中の韓国と呼ばれています。
このエリアの居住人口はおよそ30万人ですが、その3割が韓国人だと言われています。このエリアに足を踏み入れてまず最初に目につくのは、漢字の看板と並んで掲げられているハングル語の看板です。よく海外にも、中華街とか『何々街』といわれるものがありますけど、この望京は規模が大きいです。数十万単位の人が住んでいますから。このエリアのお店に入ると、店員さんは「ニイハオ」ではなく「アニョハセオ」と声をかけてきます。
韓国人がたくさん住む町ですから、韓国人のためのサービスは何でもあります。学校や塾、病院、デパート、レストラン、ここに住んでいると本当に韓国にいるようです。もし中国に来て、中華料理に食べ飽きたら、この望京へ来れば本場韓国の味が楽しめますよ。逆に中華料理のレストランを探すのに苦労したほどです。デパートや商店の品揃えもかなり他の地区とは異なっています。韓国の食材、衣料品、生活雑貨も簡単に手に入ります。民族衣装、チマチョゴリも手に入ります。ここへ来ると、中国のデパートにはないものがあるので、日本人の私にとっては嬉しいこともありました。おそらく中国の人は食べない、「明太子」それから「おでん」の具などの食材ですね。韓国語でも「おでん」は「おでん」だそうですし。味噌とか、ホットケーキミックスとかもあります。
そういえば、どうしてこれほど巨大な韓国人エリアができたのかということについて専門家の方に聞いたことがあります。韓国の人が海外へ行く場合、最初からもう何年も帰ってはこないぞ!という意識で行くそうです。そこに骨をうずめる覚悟で。会社からの派遣でもかなりの長期になるそうです。そのため家族で移住するケースが多いということです。そして、韓国企業の場合、社員も全て韓国人雇用が多いんです。つまり現地人の採用は少ないということです。日本企業の場合は、リーダーになる人を派遣して、ほとんど現地採用ですよね。だいぶ違いますね。同じアジアでも中国、日本、韓国とそれぞれ異なる面がありますね。海外で暮らすことへの意識の違いをすごく感じます。
ところで、韓国エリアとして知られた望京ですが、今すこし変化が起きています。実は世界的に有名な企業が集中するエリアになってきていますね。特に通信関連の企業が集中しています。例えばソニーエリクソン、モトローラ、シーメンス、パナソニックなど。空港に近いことも好条件となっていますから。北京市はこの望京エリアの開発をすすめ、将来的には50万人から60万人が住む町にするということです。これまで郊外というイメージがありましたが、これからはそのイメージも刷新されますね。今、北京では渋滞問題が深刻な社会問題となっていますが、今後はこのように人口を分散させていく計画でしょう。新たな地下鉄の開通工事も進んでいます。まだまだ北京の変化は止まらないようです。(『イキイキ中国』より)
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