主な野党や市民団体は同日、相次いで声明を発表したり、集会を開いたりして、安倍政権の集団的自衛権の行使容認に向けた企みと、その政治的手段に疑問を投げかけました。日本共産党の志位和夫委員長は「報告書では現実的でない想定事態は挙げ、国民を脅している。報告書が提示した方向に向い、安倍政権が集団的自衛権の行使容認のため、閣議決定することは許されない。立憲主義の否定だ」と指摘しています。また、最大野党の民主党の海江田万里代表は「集団的自衛権の行使が限定的なものであるという保証はどこにもない。限定的という印象を強く植えつけようと、手の込んだ芝居を見せられた感じだ」と話し、「政府の判断だけで行使できるというのは、拡大解釈の可能性がある」と懸念を示しました。また、社民党の又市征治幹事長は「安倍政権がこの報告書のみで、憲法解釈を180度変更するという、このような手段は許されない」と批判しました。
平和憲法を守る市民団体「九条の会」も同日、緊急集会を開きました。憲法学者で、一橋大学の山内敏弘名誉教授は「報告書は立憲主義と平和主義を破った」と話し、安倍首相は「亡国の元凶だ」と非難しました。また、報告書を提出した私的諮問機関の専門家や学者は、いわゆる"安倍を助ける仲間たち"だ」と批判しました。日本ペンクラブも同日、抗議声明を発表し、安倍首相が一方的に憲法解釈と国の体制を変更するという政治的手法は「非常識」で、法治国家にあるまじきやり方だと批判しました。
共同通信は論説で、「安倍首相は集団的自衛権行使容認の考えを明確にした。首相の意向で行使を認める憲法解釈変更に踏み切れば、日本の安全保障政策の大転換で、専守防衛の理念から逸脱し、自衛隊が海外で武力を行使する道を開く恐れもある」と評し、「集団的自衛権の行使容認は日米同盟をある程度強化できるものの、外交的にはマイナス的な影響が避けられず、近隣諸国が日本の『軍事大国化』の動きに警戒心を強め、地域の緊張化をエスカレートさせる恐れがある」と指摘しています。
また、同日夜、数百人の市民が国会や首相官邸の周りで集会を開きました。参加者は「集団的自衛権の行使容認は戦争への道を開いたことを意味し、国民が立ち上がって阻止しなければ、日本は根本から変わってしまい、戦後から今まで続いてきた平和の時代が終わってしまう。戦争に向って、まっしぐらに進もうとする安倍首相のやり方を恐ろしく感じる」と話していました。(Yan、山下)
| ||||
© China Radio International.CRI. All Rights Reserved. 16A Shijingshan Road, Beijing, China. 100040 |