日本の野田佳彦首相は12日、今国会の会期末を迎える11月30日までに衆議院を解散し、次期衆院選挙を前倒しして行う調整に入ったと表明しました。与党・民主党の支持率が下がっている中、この動きは日本の政界にどんな影響を与えるのでしょうか。
今回の衆議院は来年8月の満期まで残り10ヵ月足らずですが、野田佳彦首相は11日夜、年内に衆議院を解散する意向を民主党の輿石東幹事長に伝えました。これについて野田首相は、12日に開かれた衆院予算委員会で「自分の言葉は重たいという自覚は持っている」と述べ、年内の衆院解散を強調しました。一方、解散の時期については、「特定の時期を明示するつもりはない」としました。
これを受けて日本の報道機関は、衆院解散の時間について、「『特例公債法案』と選挙制度改革案が国会で成立する日によって決まる」としており、「この二つの法案に関する野党との協議が順調であれば、野田首相は野党の自民党および公明党と合意した衆院解散の承諾を履行しなくてはならない」と指摘しています。
「特例公債法案」は、赤字国債発行で本年度の財政予算の4割近くの財源を確保できるかどうかにかかわっており、成立させる必要があります。このことから、与党の民主党と野党の自民党、公明党は12日午後から法案調整協議に入り、15日の衆議院での通過を目指しています。同時に、選挙制度改革案について野党の態度は明確化していないのに対し、民主党はこの問題を次期選挙に持ち込もうという構えです。
このような背景で野田首相が衆院解散に踏み切るのには、二つの要因があるとアナリストは見ています。まずは、消費税増税などの税と社会保障の一体改革案が国会で可決されることを確保するため、野田首相は「近いうち」に衆議院を解散することを承諾し、自民党と公明党の支持を得ることができました。仮に解散時間で曖昧な態度を取り続ければ、故意に時間を引き延ばそうとしていると見られる恐れがあります。そうなれば民意が失われ、支持率の低迷が続くにちがいありません。また、近ごろ東京都の石原慎太郎前知事や大阪市の橋下徹市長などが、衆院選挙で100議席超の目標を掲げ、政界で第三極勢力という新たな勢力を立ち上げようと強い意欲を示しています。これに対して野田首相は、衆院選挙の前倒しによって、選挙の準備時間を与えないことを狙っています。
しかし、野田首相のこういった思惑は、支持率低迷に歯止めがかからなくなる気配があります。日本共同通信社のアンケート調査によりますと、11月上旬時点の内閣支持率はわずか17%でした。さらに、民主党の10月の支持率は12.8%まで落ち込みました。
これについて、アナリストは、「支持率が低迷する中で選挙を行うことによって、民主党は3年前にやっと手にした政権を失う恐れがある。かといって、現段階で支持率が回復している自民党が、一党の力で圧倒的多数の議席を獲得することも難しいだろう」と見ています。
まもなく実施される衆院選挙。日本の政界では、激しい争奪戦が繰り広げられるのではないかと見られています。
時事解説。今日は、日本の野田佳彦首相が前倒しで衆院選挙を実施する思惑についてCRI・中国国際放送局東京支局記者のリポートをお伝えしました。(朱丹陽 中原)
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