中国の南海の大部分の海域が5月16日12時から、2ヶ月半にわたる夏季休漁期間に入ります。これを受け、中国の外交筋は休漁期間中、中国漁政船と海洋監視船が引き続き関連海域でのパトロールや法執行にあたり、不法に漁獲作業をする内外の漁船はいずれも処罰を受けると強調しています。
中国の休漁制度は海洋生物資源を守る上での恒常的な政策で、南海のほか、渤海や東海の海域でも実施されています。この中、南海での休漁制度は1999年に導入されたもので、今年で13回目の実施になります。2009年から、休漁の期間は毎年の5月16日から8月1日までとしています。
今回、休漁を実施する対象海域は北緯12度以北から、福建省と広東省の境目の海域まで続き、現在、フィリピンと領有権をめぐって争いになっている黄岩島も含まれています。
中国外交学院国際法専攻のゴン迎春教授は、黄岩島は中国固有の領土であり、休漁期間中、漁業禁止を破って漁獲する内外のすべての漁船は処罰を受け、もし暴力で抵抗した場合には、刑事的責任が追求されると指摘しました。ゴン教授は、漁業資源の保護における休漁の意味についてこう指摘しました。
「漁業資源の乱獲及び漁獲技術の発展により、周辺海域の漁業資源は著しい影響を受けている。休漁は『国連海洋法条約』を遵守する上での具体的な行動だ。また、生物資源の管轄権を行使することは、主権行使の強化でもある。その上、自国の排他的経済水域内での生物資源の保護は、『国際海洋法条約』に定めた権利だけでなく、義務でもある」
一方、中国外務省は、休漁は黄岩島事件と関係がないことをこれまで重ねて表明したものの、フィリピン外務省は中国による「休漁令」には、フィリピンの排他的経済水域が含まれているため承認しないと表明し、また、フィリピンも同様に休漁を実施する意思を表しました。これを受け、フィリピンのメディアは中国の休漁政策を黄岩島事件と結びつけて悪意的な解釈を行なっています。
これらの動きに対して、中国の東南アジア諸国連合(ASEAN)駐在のトン暁玲大使は、黄岩島付近は従来から、中国漁民の漁場で、中国の休漁政策に乗じて黄岩島をめぐる事態を騒ぎ立てて報道しようとしても無意味なことだと強調しました。
トン暁玲大使はまた、「休漁期間中も、中国の漁政船と海洋監視船は引き続き黄岩島付近の海域でパトロールし、法執行にあたる。そして、洋上の悪天候の対応においても周到な対策がある」と語りました。トン大使はまた、「中国は"隣国と仲良くし、隣国を友とする"周辺外交の政策を変えることはなく、黄岩島をめぐる事態は早く平静化をはからなければならない。中国としては、フィリピンに外交ルートに戻って、友好的な対話と協議で問題解決を期待する」と語りました。
「外交交渉のドアは一貫して開けたままだ。中国側にはそうした意思と誠意がある。我々は周辺諸国と友好的に付き合う政策や方針になんら変化もない。我々の間にある問題について、中国はもともと友好的な協議と話し合いを通じた外交ルートによる解決を図ることを主張している」
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