日本の野田首相が中国の温家宝首相の招きに応じ今月の25日と26日の両日、中国を公式訪問することになっています。
中日両国は、今回の訪問を大変重要視し、この訪問により戦略的互恵関係が一層深まるよう期待しています。しかしながら、中日両国関係に及ぼすアメリカの影響は無視できません。特に、アメリカが戦略的重点をアジア太平洋地域に移している状況の下で、中日両国の政治と安全保障分野における関係は、アメリカのアジア太平洋政策の枠組みを越えるものになることは難しいとされています。
日本の野田首相の中国訪問に先立って、香港の新聞「星島日報」のロサンゼルス支局の劉茁氏が書いた「中日関係におけるアメリカという要素」というリポートは次のように書いています。
現在、中日間の経済協力と交流は一層拡大されています。中国経済の急速な成長、それに中国という莫大な人口は、日本にとっては巨大な市場となります。また、地理的にみても、両国の経済的交流は強みを持っています。しかし、政治や軍事面での両国関係は依然としてアメリカに制約されていると考えられています。その中には、歴史上残された課題もあれば、現段階のアメリカのアジア太平洋地域における安全保障政策があるからだといえます。
アメリカとの関係は依然として日本の根本的な対外政策となっています。歴史的にみれば、中日間の戦争による傷跡はまだ残っており、領土問題や漁船衝突などにより、両国国民および両国間の信頼関係は、実質的には深まっていないのが現状です。中国に対する不安感から、日本はアメリカの軍事的保護を一層必要としているのではないでしょうか。
一方、第二次世界大戦後、米軍の日本駐屯は、日本への保護にもなれば、日本の軍国主義勢力への抑止力にもなっています。中国を含むアジアの国々は、日本軍国主義の台頭を抑えてほしいと願うと同時に、アメリカがアジア太平洋の事柄に手を出すことを望んではいません。そのため、中日関係がアメリカの介入による相互牽制の枠組みを短期間内に超えることは難しいとされています。
逆に、中米関係では日本の影響も無視できません。オバマ政権は反テロリズムの目標を達成したあと、戦略の重点をアジア太平洋地域に移し始めています。今年の11月、アメリカはオーストラリアに駐留軍を派遣すること決めました。これはアジア太平洋地域の安全保障を重視しているとされ、第二次世界大戦後のアメリカの外交政策の最も重要な変化とみなされています。
また、中国経済の急成長や総合的国力の増強は、アメリカが中国に接しながら抑制を加えるといった従来の戦略をこれからも実施していく原因となりました。日本は中国の近隣国ですが、アメリカが中国をけん制する上では重要な同盟国となるでしょう。
このように、日本の野田首相の中国訪問は、経済面では一定の成果を収めると同時に、政治と安全保障の分野では、実質的な変化を遂げることはないと思われるのです。(閣、小野)
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