座談会の様子
大江健三郎氏からの手紙
『魯迅の言葉』は、三聯書店が2010年に出版された『魯迅箴言』(365句、魯迅研究者がその著作から抜粋)を土台に、その中から選んだ130句に中日二ヶ国語をつけて、中国と日本で同時出版したものです。魯迅による世界、世相、人生、希望、読み書きなどにまつわる記述を6章に分けて紹介しています。
同じく東京大学で勉学に励んでいた留学生の韓氷氏と文化人類学専攻の丹羽朋子氏の共同提案により実現され、監訳は中国文学研究家で、 翻訳家の中村愿氏が担当しました。デザインは原研哉氏と中国人助手の程藜氏。ノーベル文学賞受賞者の大江健三郎氏は、本の出版に題辞を寄せ、「魯迅の小説、エッセーの一篇、一篇は、世界の近現代文の王である。その一行、一行を選び取れば、最良の詩集となる」と書かれています。
日本語版(赤)と中国語版(白)の表紙デザイン
三聯書店のハン希安総経理は席上で、「二ヶ国語版の共同出版を平凡社との協力の起点にしたい」と述べ、「双方の積極的な態度とチームワークにより、楽しく仕事ができ、協力は成功した」と語りました。また、大地震の中、困難を克服して予定通りの出版に力を尽くした日本側の努力に感謝の言葉を贈りました。
平凡社の下中美都編集局長はスピーチで、「この地球上で近い風土と生活文化を持つ中国と日本がより近くし、お互いの幸せについて、一緒に考えられるような文化の共有感を出版によって作ることができたらと、改めて願う次第だ。この小さな紅白の本、共同出版が人の心を動かして、和が広がるきっかけになれば、これより嬉しいことはない」と共同企画に寄せた思いを語りました。
両国の出版社が共同出版で提携することは、文化交流の促進効果のみならず、出版業界の交流、または新しい出版形態の模索において意義あるものとして高く評価されています。
北京魯迅博物館の楊陽館長は、「二カ国語による共同出版は中日両国の人民に、文化交流の場と思想疎通の新しい架け橋を作ってくれた」とし、「今回の座談会の開催は魯迅生誕130周年記念行事の始まりを意味する」と述べました。
中国出版集団の劉伯根副総裁は、共同出版は中国と日本の市場を1つに結ぶことができると評価し、両国の出版社の提携により、もっとたくさんの中日双方の作品が相手国に紹介できるようにしたいと期待を語りました。
なお、魯迅生誕130周年を記念するため、『魯迅箴言』は中国語と日本語のほか、香港では繁体字版もすでに出版されており、三聯書店は今後、英語版、ドイツ語版、フランス語版での出版も予定しています。(取材:王小燕、陳博)
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