今回の首脳会議のテーマは「チェンジ・アンド・アクション」。会議では域内の経済一体化、成長戦略、人類の安全、ボゴール目標達成の評価、APECの将来、経済と技術の協力、多角的貿易交渉(ドーハラウンド)などが討議されました。会議で採択された首脳宣言「横浜ビジョン」は、21世紀は域内の経済と発展に新たな好機と新たな課題を投げかけているとした上で、世界経済での影響力が絶えず増大している下で、経済の安定化、持続的、バランスの取れた発展を実現するために、域内経済及び多角的貿易体制の基盤を強化していく必要があると強調しました。また、より強固で弾力的な世界金融システムの構築に今後取り組み、保護貿易主義に反対していくとしています。
今回の会議は、主に「ボゴール目標達成の評価」、「アジア太平洋地域の経済成長戦略」、「APEC共同体の構想への道筋」をめぐって討議されました。首脳宣言は「ボゴール目標達成の評価」について、各国が目標達成に向けて取り組んできたことで、貿易及び投資に対する障壁が大きく削減され、域内の貿易と投資が増加していると共に、経済が持続的に成長している一方で、福祉も大幅に改善されていると評価しています。
域内の経済成長を促すための全面的且つ長期的な枠組みを構築するため、各国の首脳は「APEC首脳経済成長戦略」と題する共同文書を発表することで合意しました。この経済成長戦略は、域内経済のバランスの取れた成長を実現させると同時に、対テロ、災害、食糧、エネルギー安全面での協力を深め、持続可能な成長、技術革新などを促していくことを主な目標としており、2015年から実施されます。
首脳宣言はさらに、会議は、経済の一体化プロセスをさらに促していくために、2020年をボゴール目標達成の年にすると決めました。また各国は、経済の一体化構想を推進する主な手段として、アジア太平洋自由貿易圏の実現に向けた三つの枠組み、「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定」、「ASEAN+3(ASEANプラス中日韓)協力システム」、「ASEAN+6(ASEAN+3+インド、オーストラリア+ニュージーランド)協力システム」の実現を確認しました。
首脳宣言について世論は、「今回の会議はアジア太平洋地域の経済発展の課題及びその将来について合意し、実り多い成果をあげた」と評価しています。また、「世界的な金融危機の後、各国は、2009年の合意をもとに、経済成長戦略を制定した。また、ボゴール目標達成の1年後、各国は自由貿易圏を実現させる道筋について討議した。これは、APECの経済一体化の目標実現にとっても、重要な意味を持っている」とした一方、「先進国と発展途上国の間には、一部の目標について意見の食い違いがある。たとえば、『2015年までに国際物流コストを10%削減する』という目標数値が『成長戦略』に書き込まれなかった」と指摘しました。さらに、「周知のように、アジア太平洋各国は、政治制度、経済発展のレベル、歴史文化などが大きく異なっている。このことから経済一体化構想の短期間での実現は難しい。しかし、これは歴史的な潮流であり、各国が互恵共栄の原則を踏まえて、一体化を推進していくために必要な措置を取っていくだろう」と強調しました。(朱丹陽)
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