中国の立法機関、全国人民代表大会常務委員会はこのほど、北京で、海外の中国人や中国にいる外国人に関する民事関連法律適用案に対して2回目の審議を行いました。この法案は、国内外の当事者の合法的権利を保護するねらいがあります。法律専門家は、この法案について「国内外民事法律制度に占める当事者の意思自治原則の地位を高めた。外国との交流が増加すると共に、中国の法律の国際的な視野がより広くなるだろう」とみています。
海外の中国人や中国にいる外国人に関する民事関連法律適用法について、全国人民代表大会法律委員会の胡康生委員は「これは民法の重要な内容である。婚姻家庭、相続、物権、債権、知的財産権などの民事争いが発生した場合、どの国の法律を適用するか確認する必要がある。この法を起草したのは、わが国がここ数年実施してきた効果的な方法と、国際で通用している方法を合わせ新たな成果を取り入れるためだ」と説明しました。
中国は1980年代中期から、「民法通則」「契約法」などで、外国人に関する民事関連の法律適用を規定し、大きな役割を果たしてきました。しかし、対外交流の増加にしたがって、外国人に関する民事争いも日増しに複雑になっています。2009年だけで、外国人の民事裁判は1万1000件に達しており、これに関する法律の整備が求められています。
中国法政大学国際法学学院の斉湘泉教授は、現行の法律が抱える問題について「第1に、このような法律適用法は、いくつかの法律に分散していて、統一された体制がない。第2に、全面的ではない。たとえば、遺書について言えば、中国公民が海外で書いた遺書または、中国公民が国内で書いた遺書の中に海外の財産処理の内容があり、これらの争いが発生しても、適用法律がない。第3に、法律の規定が細かくない。たとえば、1986年の民法通則には結婚に関する規定がある。中国公民が外国人と結婚した場合、適用法律は結婚した国の法律である。これによると、中国人同士が外国で結婚した場合、どの国の法律を適用するか。そして、外国公民同士が中国で結婚した場合はどうなるのかなど。明確な決まりがない」と述べました。
今日の法案について、斉教授は「当事者の意思自治原則が貫かれている。これは当事者の個人意思を尊重しており、民事関係の自ら意思決定をするという特徴に符合している。それから、中国の法律には強制的な規定もあり、直接適用すべきだ。これは国家主権の維持に必要なもので、国際でも通用するやり方である」と強調しました。
海外の中国人や中国にいる外国人に関する民事関連法律適用案は、中国、ドイツ、スイス、日本などの国の関連規定ほか、EU、ハーグ私法統一国際協会などが制定した関連条約を参考にしました。(朱丹陽)
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