中国では、弁護士の少ない地域に向けた法律支援ボランティア活動が30日、スタートしました。この活動は、中国司法省と中国共産主義青年団中央の提唱で始まり、弁護士など法律専門家の少ない地域に、現役の弁護士と法科大学の学生を派遣し、法律サポートを行うことを目指します。
このボランティア活動は「1+1」と名付けられていますが、中国法律援助基金会の張秀夫会長によりますと、法律専門の人材の少ない西部地区に、1つの県につき現役の弁護士1人、法科大学の学生1人、と2人ずつ派遣するということです。
中国では2003年、「法律支援条例」が公表されました。その中で、費用がないため弁護士を依頼できない場合、法律サポートを申請することができると定められています。法律サポートは、経済的に困難な人の権利を確保し、社会の公平と安定を守る上で重要な貢献をしています。
しかし、中国の中部と西部の、経済発展が遅れている地域では、法律専門の人材と資金不足が目立っています。このことについて、貴州省平バ(土へんに貝)県の盧鳳司法局長は、このように話しています。
「この県の人口はおよそ40万人で、ほとんどが貧しい人たちです。しかし、弁護士は1人しかいません。政府の役人など法律専門でない人を全部動員してでも、皆の需要にはなかなか応えられません」
それよりも深刻なことは、中国の210の県は、いまだに弁護士が1人もいないということです。これは、住民の合法な権利の確保だけでなく、地元の経済と社会の発展も妨げています。こうした状況を踏まえ、政府は法律サポートのボランティア活動を行うことを決めました。この活動について、中国司法省の趙大程次官は、人々の法的需要を満たすとともに、一般の人が法律サポートに参加する機会を与えているとの見方を示しています。趙次官の話です。
「今回の活動は、法律サポートへの取り組みについて、弁護士に新たなルートを開きました。現役の弁護士はボランティア活動に参加することによって学生ボランティアを指導し、また貧困地域での法律サポートとサービスを強めることができます」
この活動では、第1陣として、弁護士と大学生合わせて100人が8月初め、各地に向かい、これから1年から3年にわたって就職、教育、医療などの面で法律サポートを行います。期間中、弁護士には1人につき年間少なくとも20回の無料の法律サポート、学生ボランティアには能力に応じた法律サポートと法律知識の普及活動が求められています。
30日、北京で行われたスタート式で、学生ボランティアの1人、雲南大学法学院の院生、廖志亮さんは「私は、状況が最も厳しく、最も支援を必要とするところに行きたい。情熱を持って知識を活かし、地元の人々を助けたい」と意気込みを語りました。
この活動は、最終的に弁護士のいない全ての県を支援できるように、これからも続けていくということです。(鵬)
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